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□突然の訪問者3
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その日、名前がたどり着いたのは植物園だった。
中に入って見ると、見たことの無い草花が咲いている。
辺りをキョロキョロ、色々なものに目を奪われながら歩いていると、視線の先に尻尾を見つけた。
名前は、尻尾を見つけて瞳をキラキラと輝かせる。
『!!』
木の陰から伸びているその尻尾。
学園の中には動物の耳や尻尾が付いている生徒がいたのを、名前は覚えていた。
尻尾の持ち主もその一人だろう。
動かない尻尾に、眠っているのか?とソッと起こさないように、足音をたてないように、気を付けながら木に近いた。
そして姿が見えたその人物はーーー
*
「まったく、レオナさんは何処へ行ったんッスかねぇ・・・」
サボり魔なサバナクローの寮長であるレオナ・キングスカラーを、今日も今日とて面倒くさそうに探すラギー・ブッチ。
「後探して無いのは、植物園だけか・・・」
すると、そこで思わぬ人物と遭遇した。
「あれ?そこに居るのは、トレイさんッスか?」
「ん?あぁ、ラギーか。」
少し焦った様子で何かを探しているトレイ。
「どうかしたんッスか?」
ラギーが訊ねると、
「実は弟を探しているんだ。まだ3歳なんだが・・・見なかったか?」
そう問われた。
「自分が来た道には、3歳児はいなかったッスねぇ・・・」
「そうか・・・すると残るは植物園だけか・・・」
ラギーの答えに植物園を見上げるトレイ。
「ラギーは植物園に何か用事か?」
「レオナさんを探しに来たんスけど・・・」
ラギーの答えに、
「「・・・」」
嫌な予感しかしない二人。
「・・・それは不味いな。早く二人を探そう。」
「了解ッス。」
急いで植物園に入ると二人を探し始めたのだった。
*
「・・・これは、どういう状況だ?」
「トレイさんの弟って、胆が据わってるッスね。」
「褒め言葉として受け取っておくよ。」
レオナと名前を探していた二人が見つけたのは、レオナの懐に潜り込み、一緒に昼寝をする名前の姿だった。
きっと気持ち良さげに眠っているレオナに釣られて、名前も眠くなり、懐に潜り込んだというところだろう。
苦笑しながらトレイはそう推測した。
潜り込んだ名前に気付かずに、レオナも気持ち良さげに眠っている。
警戒心が強い筈のレオナにしては珍しい光景。
「・・・写メ撮っておこう。」
「あっ、オレも!」
二人は仲良く眠る二人の写真を撮るのだった。