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□突然の訪問者2
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今日も無断でナイトレイブンカレッジに遊びへ来た名前。
さて、兄を探そうと学園内を歩き始めた時ーー
「何やら珍しい客がおるな?」
後ろから声が聞こえた。
振り返ると、兄とは違う黄緑色のベストを着た性別不詳の人物が居た。
(先程までは自分一人だった筈なのに?)
名前が首をかしげていると、
「お主何処から来た?誰かに似ている様な気がするのだが・・・はて?」
相手も名前を見て首をかしげている。
暫く二人が見つめあっていると、
「リリア、此処に居たのか。」
また別の人物が現れた。
目の前の人物はリリアというらしく、
「マレウスか。」
新たに現れた人物ーーマレウスの名を呼んだ。
名前がマレウスをーーというよりマレウスの頭に生えた角をまじまじと見つめていると、
「ほぉ・・・僕を見ても恐れぬとは、随分肝の据わった子供のようだ。」
視線に気付いたマレウスが、名前を見て目を細めた。
「何やら気になる魔力を感じて来てみたら、この子供、随分と魔力が強いようでな。しかも誰かに似ているのだが・・・」
誰か分かるかとマレウスに問うリリア。
マレウスは顎に手をやり、名前を見つめて口を開いた時ーー
「名前!此処に居たのか、探したぞ!」
兄であるトレイが息を切らしながら駆け寄って来た。
『にいちゃ!』
トレイを見るなり抱き付く名前。
「そうか、トレイの弟だったか。」
疑問が解けてスッキリした様子のリリア。
リリアの声に名前しか目に入っていなかったトレイが、名前と一緒に居たリリアとマレウスに気が付いた。
「二人が弟を見つけてくれたのか?ありがとう。」
名前を抱き上げると、保護してくれていただろう二人に礼を言うトレイ。
「いや、何もしていない。礼には及ばん。」
それにマレウスが答え、
「それよりトレイ。お主の弟は興味深いのう?」
リリアは名前に興味津々。
マレウスも何も言わないが、面白そうに名前に話しかけるリリアを見ている。
ディアソムニア寮の二人に興味を持たれた様子の名前にトレイは、
(厄介な人物達に興味を持たれたな・・・)
内心頭を抱えるのだった。