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□刀装君2
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名前が本丸に来てから一週間が経った。
政府の担当者さんも、名前の様な存在を見るのは初めてらしく、絶賛調査中だ。
ここ一週間で名前も本丸に少しずつ慣れてきたらしく、短刀達と遊ぶ姿を見かける様になった。
が、三日月以外の脇差以上の刀剣達には未だに慣れず、短刀達と遊ぶ以外は、三日月の後ろをフヨフヨと後追いしている。
「長谷部との初対面が不味かったよなぁ・・・」
「うっ・・・」
短刀達と遊ぶ名前を眺めながら、ボソッと漏らした主の言葉に項垂れる長谷部。
「私は悪い気はせんがな?生まれたての雛が、親の後追いをする様で実に愛らしい。」
茶を呑みながら、一緒に眺めていた三日月がそう言う。
「確かに、三日月が作った刀装だから、三日月が親で間違いないだろうけど・・・」
名前には、三日月以外の刀剣達にもくっついて、色んな経験をして欲しいのだと告げる主に、
「・・・ふむ、ならば、この刀剣達はどうだ?」
そう言うと三日月は、
既に仲が良い短刀達は除外して。
脇差から、堀川国広、鯰尾藤四郎、物吉貞宗、浦島虎徹。
打刀から、加州清光、大和守安定。
太刀から、燭台切光忠、一期一振、獅子王、ソハヤノツルキ。
鶴丸国永は悪戯癖がある為、保留・・・
「確かに、このメンバーなら面倒見が良いから大丈夫そうかも。」
「なら早速、一度面識がある加州辺りに会わせてみるとしよう。」
こうして、名前の刀剣達に慣れよう作戦が実行される事になった。
【加州清光・大和守安定】
「何かと思ったら、名前の人見知りを無くせば良い訳ね?」
三日月から話しを聞いた清光は、快く了承した。
「俺は加州清光。んで、こっちが・・・」
「大和守安定。僕達、沖田総司の愛刀なんだ。」
怖がらせない様に微笑みながら名前の頭を撫でて、宜しくと告げる二人。
三日月の肩に乗り、くっついていた名前はキョトンとした後、ペコリと頭を下げ挨拶を返した。
「可愛い!」
「こぉら!清光!あんまり強く握ったら、名前が苦しいだろ!」
清光は主と同じく可愛いモノ好きな事もあり、名前を可愛いがる。
安定は構い過ぎる清光から庇ったりと、名前の面倒を見ている。
見立て通り、二人に懐いた様子の名前を見て、
「善きかな、善きかな。」
三日月は微笑むのだった。