BSD番外編

□偶然の出会い
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今日は敦の仕事が休みの日。

鏡花と行った赤レンガ倉庫のクレープを、名前にも食べさせたいと考えていた敦は、

「今日は、ちょっと遠くへお出掛けしようか?」

『おでかけ!』

と、名前を連れ出したのだった。

鏡花にしてあげた様に、ゲームセンターで、名前が欲しいと云う白い虎のぬいぐるみを取ってあげた後。

クレープ屋の近くのベンチに名前を座らせると、

「名前ちょっと待ってて。知らない人に話し掛けられても、着いていっちゃ駄目だよ?」

そう名前に言い聞かせ、

『あい!』

名前の元気な返事を聞くと、クレープを買いに急いだ。



*



クレープ屋の前の列に並ぶ敦を見ている名前。
敦の前には十数人居るため、時間がかかりそうだ。

そんな名前の前に、ふと人影ができた。

『?』

名前が敦から目を離し、見上げるとニヤニヤ嗤う柄の悪い男の人が二人……

「お嬢ちゃん?此処で一人何してんのかなぁ?」

『‼』

「ズボン履いてるから、男じゃねぇの?」

「でも、こんだけ上玉なら、どっちでも高く売れんじゃね?」

ガタガタ震えながら、男たちを見つめる名前。
どうやら人身売買の算段をしているらしい。

敦からは丁度、死角に居るため、敦は男たちに気付いていない。

男たちに捕まらずに、どうやって兄の元まで逃げようか……

名前が考えていた、その時……

「てめぇら……誰の許可を得て、そんなまねしてやがんだ?」

また別の男の声が聞こえた。

後ろを見ると、帽子をかぶった栗色の髪をした、男の人がいた。

「誰だてめぇ?」

柄の悪い男たちが、後から来た帽子の男を威嚇する。

「俺を知らねぇとは、格下か……」

そう云うと、帽子の男はバキッと、触れただけで壁に穴を開けて見せた。

「「⁉」」

『‼』

「やっ、やべぇーよ!コイツ、ポートマフィアの中原中也だ‼」

「逃げんぞ‼」

そう云うと、男たちは逃げて行った。

「………ちっ」

帽子の男は舌打ちをすると、何処かへ電話を掛け始めた。
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