SB69
□8話
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レッスンの帰り道。
駅前の広場に人だかりが出来ているのを見つけた。
此処では色んなバントが路上ライブをしている。
(今日は、どんなバントだろう?)
『にいちゃ!』
物凄く気になったナマエは、繋いでいたカイとリクの手を引っ張った。
「ナマエ、何だ?」
「どうしたの?」
『ありぇ、みたい!』
あれと言われて、ナマエの視線を辿ったツインズは、路上ライブの人だかりに気付いた。
「よし!行こう!」
ナマエを肩車し、人だかりに向かって駆け出すカイ。
「ちょっと!兄さん⁉」
そんなカイを見て、
(もう、兄さんはナマエに、甘いんだから……まぁ僕もだけど。)
苦笑しつつ、
「兄さん、ナマエ落とさないでね!」
リクも後を追うのだった。
*
其処で路上ライブをしていたのは、なんと!【徒然なる操り霧幻庵】の三人だった。
『カイにいちゃ!ちゅれぢゅれ!』
「良かったな!」
瞳をキラキラさせて見ているナマエに、カイも嬉しそうだ。
「徒然か、流石に人が多いや……」
リクが辺りを見回している。
自分達の曲調とは違う、何処か懐かしさを感じさせる【極東の音楽】を奏でるライブは、時間を感じさせず、あっという間に終わってしまった。
すると急に辺りが暗くなり、パッと明かりが点いた時、其処に居たのは、【忍迅雷音】だった。
『にんじん!』
此れにはナマエも大興奮!
「ナマエ!判ったから、暴れるな!」
「ナマエ、落ちるよ⁉」
慌てて、カイの肩に乗るナマエをリクも支える。
「何か……今日の路上ライブは豪華だな。」
何とか落ち着いたナマエに、ホッとするカイ。
「ナマエが楽しいなら良いんじゃない?」
リクはそう言うと、嬉しそうに手裏修羅雷と合いの手を入れるナマエを、肩車するカイごと写真を撮るのだった。
その後、ライブ終了直ぐにドロンと消える忍迅雷音に
「すげぇー!本当に消えた‼」
カイもハマるのだった。