SB69

□プロローグ
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プロのピアニストを目指して、音大に通う自分は今、スランプになっていた。

今日は折角、有名な先生が見てくれる授業があったというのに、結果はさんざんで良い評価が貰えるはずもなく…
落ち込みながら帰路をたどっていた。

何を弾いても上手くいかない。
いつもなら間違えない場所で、上手く指が動かない。

横断歩道で信号待ちをしていた時、誰かの悲鳴が聞こえた。
声のした方へ視線を向けると、歩道に乗り上げ、スピードを落とさずに此方に向かってくる車が見えた。

逃げようとしたが脚がすくんで動かない。
気付いた時には、視界に青空が広がり、地面に叩きつけられて、自分がひかれたと理解した。

不思議と痛みを感じず、次第に意識が遠くなっていった。



*



赤ちゃんの鳴き声に目を覚ますと、ぼやけた視界に此方を覗きこむ二人の子供の姿が見えた。

「お母さ―ん!ナマエが目を覚ましたよ!」

その内の1人が母親を呼びに行き、もう1人が、

「今、お母さんが来るからねナマエ。」

と、自分に話し掛けてきた。

どうやらナマエとは自分のことで、自分は早くも転生というものをしたのだと、自分のものにしては小さく幼い手を見ながら理解した。

それがただの転生では無く、アプリゲームやアニメ化もしている、SB69の世界に……しかもトライクロニカのツインズの弟として転生した事に気付くまで、あと少し……


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