BSDわん!

□悪霊騒動
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とある事件で太宰に大事があったと、名前達一同は呼ばれた。

その事件はなんと、悪霊が太宰に取り憑いたと云うのだ。

ショックを受けない様にと、国木田が前置きをして、名前達は太宰に面会した………

ゴクリと唾を飲み込み、オフィスを覗き込むと其処には、だらーんとソファーに寝転ぶ太宰が居た。

「『………』」

すやぁーと気持ち良さげに眠る太宰を見つめる中島兄弟。

「何時も通りの太宰さ……」

敦の台詞を遮り、

「奴にはナマケモノの悪霊が取り憑いている。」

国木田が告げた。

((ナマケモノの悪霊))

『にゃまけもにょ?』

なあに?と首をかしげる名前に、

ナマケモノ

哺乳綱異節上目有毛目ナマケモノ亜目

一日二十四時間は動かないとも云われる、のんびりとした生物。

国木田がそう教えた。

「敵の最後の悪あがきと呼べばいいか、探偵社員を怠惰にすることで仕事を妨害しようとしたんだろう。」

顎に手を当て国木田は告げた。

「そんな……」

敦が呟いたとき、どぅるんと太宰がソファーから滑り落ちた。
が、そのまま太宰は、すぴょすぴょと眠ったまま。

(ぶっちゃけ、何時も通りに見えなくもないんですけど‼)

(云うな、敦!)

そんな太宰を見てアイコンタクトで会話をする国木田と敦。

名前は、よいしょとソファーに太宰を戻すと、ツンツンと太宰を突っつき始めた。

「悪戯や変なちょっかいを出してこない分、寧ろ何時もよりマシなのではないか?なんて云うな、敦!」

思わず本音が漏れた国木田に、

「な、何だって⁉」

まぁっ!と敦は手で口を押さえた。

「ナマケモノが居た方が、俺の仕事が捗るなんてな……」

ズーンと落ち込む国木田を見て、

(あぁ……ショックを受けるなって、こういう……)

敦は納得したのだった。

「という訳で、何時も通りでいいぞ。」

「は、はい。」

そう云い残し、ヤレヤレと国木田は仕事に戻って行った。

楊枝に刺さるウサギ形の林檎。

そっと太宰の口元に持っていくと――

もっきゅもっきゅと食べます。

どや顔の鏡花を見て、キラキラと瞳を輝かせた名前が、

『名前も!』

自分もやりたいと手をあげた。

(鏡花ちゃんと名前が、餌付けを始めてしまった。)

敦はそんな様子を見て、顔を引きつらせた。
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