BSDわん!
□お掃除
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「いきなり掃除係を命じられて不満かい?敦君、名前君。」
頭に三角巾を被り、手にはハタキと雑巾を各々持たされている兄弟。
「だが、社の清掃だって立派な仕事の一つなんだよ。だからね――」
太宰はそう前置きをすると、
「社員達の、私物ロッカーの中だって掃除しないと!気は進まないけど、仕事だから仕様がないよね。」
私物のロッカーの前で、いやー参ったと云いつつも、ヒャッホウ!とワクワクした様子の太宰。
私物のロッカーとは、社員が各々与えられた収納スペースである!
勿論、勝手に開けるのはマナー違反だ!
「だから!人のロッカー開けちゃダメでしょ!太宰さん!プライベートな場所なんですから、怒られちゃいますよ。」
『だじゃーしゃ、めっ!』
兄弟が止めるが、太宰は聞く耳を持たない。
「大体何時も、与謝野先生のロッカー赤い液体が漏れ出てて怖いんですよ。」
最終手段として敦が本音を云うが、
「医者なんだから、そういう事もあるだろう。」
と、太宰。
「医者だから全て許されると思ったら大間違いですよ。」
敦がツッコミを入れた。
「ほら、掃除のおばちゃんだって、男子トイレというプライベート空間に入ってくるだろ?」
「それは仕事だから‼」
そんな敦に太宰は
「そうそう、私達も社の清掃が仕事だから開けてもいいんだよ。」
そう告げる。
「あぁ〜成る程。」
納得してしまう敦だったが、
『にいちゃ、ちがう!』
名前の言葉に、
「いや、やっぱ、おかしいですよ!勝手に開けちゃ!」
我にかえった。
すると、
「良いんだよ!私はさっさと皆のロッカーの中が見たいの!!!」
太宰の本音が漏れた。
「清々しい程の本音!」
敦は再びツッコミ、名前も溜め息を吐いて呆れるのだった。
結局、ロッカーの中を見たい太宰に巻き込まれる兄弟。
「さぁ、先ずは国木田君のロッカーから♪」
「うぅ…良いのかなぁ。」
恐る恐る開けると中は国木田らしく整頓されていた。
「「『……』」」
「まぁ…予想通り…」
「いや、よくよく見るとおかしいですよ。何でカレンダーが二個も三個も並べてんですか。」
ロッカー内に貼られた幾つものカレンダーに、引く敦。
太宰は、
「この辺とか、国木田恥ずかしポエム集なんか、期待していたのに……」
綺麗に並べられた、ノートやファイル、本を漁り出す。
(……絶対、本当の目的はコレだ。)
名前は呆れながら見ていた。