BSD2
□34話
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探偵社の社員寮の前で、国木田から訓練を受けている敦。
「うぉおおおおああっ!」
勢いよく国木田に向かって行くが、
ガッ
「⁉」
ドサッ
敦は簡単に投げ飛ばされた。
パンパンと手を払い、溜め息を吐くと、
「云っただろう。直線で攻撃するな。反撃を貰いに行くようなものだ。」
国木田が敦に注意する。
「でも……如何すれば。」
仰向けにひっくり返ったまま、敦が国木田に問い掛ける。
「力に使われるな。此迄もお前は虎の力に溺れた時に負けている。」
上半身を起こして国木田の言葉を聞く敦。
「一言で云うなら【虎は強いが、お前は弱い】」
「!」
その言葉に敦はハッとする。
『どっぽしゃ!名前も!』
それまで大人しく二人の訓練を見ていた名前が、
『たぁああっ!』
国木田に向かって突進する。
そんな名前に国木田はしゃがみ込むと、
トサッ
優しくひっくり返した。
それにキャッキャ笑い喜ぶ名前に、苦笑すると国木田は腕時計を見て、
「仕事の時間だ。」
二人を連れて探偵社に戻るのだった。
*
「《殺人結社》?」
「はい。政府より緊急の要請です。」
政府からの依頼が入ったと、会議室に集まる探偵社員。
定位置である敦の膝に座っている名前は、
(この事か……)
名前は、虫太郎が云っていた
【もうじき探偵社に大きな仕事が入る。】
という言葉を思い出していた。
「まず被害者の写真を。」
ホワイトボードに貼られる写真に、
「……非道い。」
顔を曇らせた敦に名前は、
「名前は見ちゃ駄目。」
目を塞がれた。
「被害者は横浜の若手議員。会議を中座した後、五分後にこの状態で発見されました。」
議員は上半身の皮を剥がされ、裏返しに着せられていた。
しかも、高級シャツの縫製を施され、ネクタイやカフスで装飾。
それを生きたまま施されていたという。
「大した趣味の良さだねぇ。」
犯人の悪趣味に舌打ちする与謝野に同意しつつ、
(五分でそんな事、出来るの……?)
名前は変なところに注目し、首をかしげた。
「同一犯による犯行が、今週四件起きています。」
国木田の報告に、
「四件も⁉」
驚く敦。