If 設定の番外編

□クッキング?
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今日は中原が仕事の為、名前は太宰の部屋にお泊まりする事になっていた。

が、先程からキッチンでは………

ガガガガガガッ

カンカンガン……ドカッ!

と、五歳の名前でも判る程、到底調理とは思えない音が響いている。

『……太宰さん。何をしているの?』

恐る恐るキッチンを覗き込む名前に、太宰はキョトンとした顔をして、

「何って、見れば判るだろう?豆腐を作っているのだよ!」

(見ても判らないから訊いたんだけど……)

太宰の台詞に顔をひきつらせる名前。

『豆腐を作っているわりには、変な音がしているけど?』

そう突っ込めば、

「良くぞ訊いてくれた!此れは只の豆腐では無いのだよ!【豆腐の角で頭を打って死ぬ】を再現する為に、研究を重ねに重ねた豆腐なのだよ!」

太宰はキラキラとした瞳で、そう告げた。

そこから始まる、太宰のいつもの自殺談義。

(あぁ、スイッチ押しちゃった……太宰さんって頭良いけど、莫迦だよねぇ……)

遠い目をして名前は、太宰の話を聞き流し、適当に相槌をうつ。

その後、本当に硬い豆腐が出来て、太宰が頭を打って怪我をし、慌てる名前だった。



*



【Bar Lupin】にて………

「どうしたんだ?その頭の怪我。」

織田作に訊ねられて、硬い豆腐の話をする太宰。

「それは食えるのか?」

「悔しい事に、此れが旨い。」

顔をしかめて告げる太宰に、織田作が、

「それは一度食べてみたいな。」

フッと笑い、そう告げた時、

「織田作さん、そこは突っ込むところです。」

安吾がやって来た。

「太宰さんのところに、五歳の子供が居ましたよね?」

「あぁ、名前君の事?」

「まさか、その子にも食べさせたんじゃ……」

顔をひきつらせる安吾に、太宰はけろっとした表情で、

「食べたよ?」

そう答えた。

「何という物を、幼い子供に食べさせているんですか⁉」

安吾の台詞に、

「安吾まで、中也みたいな事を云う。」

太宰は顔をしかめる。

織田作は、安吾に注意される太宰を見ながら、一人静かにグラスを傾けるのだった。


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