BSDわん!

□銭湯
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その後ろでは、太宰が国木田をからかっている。

「湯船逆立ち健康法。お湯の中で逆立ちすると健康になるのさ。」

(また嘘吐いてる……)

名前が呆れながら太宰を見ていると、太宰の話を手帳にメモをしていた国木田が、

「ウソを吐け太宰!また下らん法螺話を!」

途中でハッと気付いて、太宰を叱る。

それに動じず、

「サウナ水風呂健康法。サウナと水風呂を交互に入ると健康になるのさ。」

また健康法を教える太宰。
何故かまた素直にメモをする国木田。

再びハッとすると、

「もう騙されんぞ!そんな健康法は断じて無い!」

太宰を叱るが、

「あるよ。ねぇ、名前君?」

突然、太宰に抱き上げられて、話を振られた名前は、

『ありゅ。てりぇび、やってた。』

同意するのだった。

そのまま名前を抱っこして歩く太宰に、敦が不思議そうな顔をして訊ねた。

「太宰さん、手ぶらですか?」

「よくぞ聞いてくれた敦君。全て人から借りる作戦!」

キラリとキメ顔で答える太宰に、

「貴様には断じて何も貸さんぞ。」

キッパリと国木田は告げる。

チラリと悲し気な顔をして敦を見る太宰に、

「僕達ので良ければ貸しますよ……」

敦が云った。

「ただ僕達、髪も体も全部、石鹸一つですけど……孤児院がそうだったので。」

そんな敦の話に、

「君達兄弟って、偶に凄くワイルドだよね。やっぱ、いいや……」

太宰は顔を引きつらせ、それを聞いていた谷崎が、

「だから、名前君の髪がゴワゴワしてたのか。」

納得した。

「谷崎さん家にお世話になった後の名前の髪が、サラサラで柔らかいのって……」

「これですわ!」

ナオミが敦に、シャンプーとコンディショナーを見せた。

「同じのをボクも持っているから、使うと良いよ。」

谷崎に云われ、

「ありがとうございます!」

嬉々として敦はお礼を告げるのだった。

銭湯に到着した一行。

初めて見る大きなお風呂に、感動する名前。

今にも走り出しそうな名前を止めて、敦は名前の体と髪を洗った。

「敦君、名前君はボクが見てるから、自分も洗うと良いよ。」

谷崎の言葉に甘えて、敦は名前を谷崎に預けた。
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