BSDわん!
□お花見
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「……楽しみだった。」
「?」
「お花見……楽しみだったから。」
照れくさ気に告げる鏡花に、
『名前と、いっしょ!』
自分と同じだと名前は喜び、敦は、
「鏡花ちゃん、ありがとう。」
そう云って、その日は皆が来る前に、少しだけ三人でお花見を楽しんだ。
*
そして皆が揃って、始まったお花見。
だがその隣には、偶然にもポートマフィアの面々が……
「あ―――‼何で花見の場所が、探偵社(コイツら)の隣なんだよ‼」
中原が文句を云っているのが聞こえた。
「確かに由々しき問題じゃがなぁ。………楽しそうな鏡花も名前も見えるしのうー❤私の鏡花と名前は愛らしいのうー❤」
カワイイカワイイと仕切りに呟く紅葉は、もう既に酔っているらしい。
「こんな場所、取ったのは手前か‼オラ‼」
文句を云って黒蜥蜴を困らせている中原に近付くと、
『ちゅーやしゃ、名前といっしょ、や?』
首をかしげて名前は中原を見上げた。
「べ、別に名前が嫌な訳じゃねぇ。」
そんな名前に動揺すると、
「腹黒陰険男のせいで酒が不味くなる。」
中原はそう云った。
「ぜーんぶ聞こえてるんだよねぇ。大して呑めないクセに。」
それを聞いていた太宰が、ボソッと呟く。
「ンだとォ⁉花見に何で手前が来てんだよ!」
「私が何処に居ようと勝手だろう?」
「今日こそは殺ス‼勝負しやがれ太宰。」
途端にいつもの様に云い争い始める二人。
と云っても、太宰が中原をからかっているのだが……。
樋口が合同花見を提案するが、
「おい待て‼誰が太宰と合同だァ⁉こんな場所、絶対に移動だ‼」
中原が直ぐ様却下し、露骨にガッカリする芥川。
(そんなに太宰さんと、お花見したかったんだ……)
しょんぼりする芥川に同情した名前だったが、
「よォし移動だー!いど……」
いつの間に酒を呑まされたのか、フラ〜とすると、中原は酔い潰れて倒れてしまった。
「中也さんが酔い潰れた⁉」
「お花見、意外と楽しかったんですかね?」
異能から話を聞いて、太宰をじと目で見つめる名前を抱き上げ、
「五月蝿いのが、やっと静かになったねぇ。今日くらい桜に免じて皆で宴を楽しもうか。」
中原を枝の先でツンツンと、突っつきながら云う太宰。