BSDわん!

□お掃除
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「まぁ、此処は飛ばして次に行こうかな……」

「え⁉掃除に来てるんですから、本来の役目では……」

異を唱える敦に、

「………んだもん。」

何やら太宰が云うが聞き取れず、

「はい?」

敦が聞き返すと、

「本当にロッカーから血が滴っていたら怖いんだもん……与謝野医師が。」

顔を青くしながら、そう告げた。

((ご、ごもっともー!))

納得する兄弟だが、

『にいちゃ、ちじゃにゃい。』

名前の訴えに気付かず二人は、

「あ!ほら!次のロッカーは、私のだぞ〜〜!」

次へと進んだ。

「見たい?中身見たいかい?敦君!名前君!」

あまりにも見て欲しそうな太宰に、

「ええ、あぁ……はい……」

仕方なく、そう答えた。

話を聞いてくれない二人に、名前は一人飽きて、くわぁっと欠伸をした。

「じゃーん!太宰風ロッカー式、自殺コーナーです。」

嬉々として太宰が自分のロッカーを開ければ、

((予想してたけど怖ッ))

中には首吊り用のロープが、ぶら下がっていた。

「横に倒せば使用後、直ぐ様棺桶にもなるのさ。」

得意気な太宰に、

「そんな便利商品みたいに云われても。」

『ろっかー、もえにゃい。』

敦は顔を引きつらせ、名前は棺桶にしてもロッカーは燃えないとツッコミを入れた。

「あ〜敦君、名前君。なんか飽きてきたね〜。」

兄弟の台詞を無視し、太宰は自分のロッカーを閉めると、そう告げた。

「お披露目して満足しちゃったんですか⁉」

敦がツッコミを入れる。

「もう掃除はやめて、あんみつでも食べに行こうか☆」

太宰はどこまでも自由人だった。

その後、

「俺のノートが何故ゴミ箱に⁉太宰の仕業か!もう許さん‼」

国木田によって太宰のロッカーが、本当に棺桶になった……

そして、

「ワインが割れてた‼」

名前に教えられて、自分のロッカーを開けた与謝野は、割れたワインにショックをうけていた。

(葡萄の匂いは、ワインだった!)

やっぱり血ではなかったと、一人得意気になる名前だった。


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