BSDわん!

□おでん
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「あれ?鍋にお餅ばかり……入れましたっけ?」

戻って来るなり首をかしげる敦。

「あぁ、それはね。」

敦より先に戻っていた太宰が、理由を説明し始める。

「先ず、餅巾着を与謝野先生が解体するだろ。」

「国木田さんが、せっかく包んだのに⁉」

『しゅごかった。』

凄いメス捌きだったと、それを目撃した名前が相槌をうった。

「名前、見てないで止めて!」

そんな名前に、敦がツッコミを入れた。

太宰が説明を再開し、

「油揚げと、かんぴょうを乱歩さんが食べる。」

そう告げた。

「何故外側だけ!」

再びツッコミを入れた敦に、

「餅のとこは、味がしないから要らない。」

乱歩がそう答えた。

「身も蓋もない!」

呆れる敦に名前が、

『にいちゃ、名前、おもち、しゅき。』

自分が食べると立候補した。

「これで需要と供給が成り立ったね。」

得意げな乱歩に、敦が顔を引きつらせていると、

「奇想天外な奴だと思うが、乱歩を同じ社員として、宜しく頼む。」

背後から福沢がそう敦に告げた。

「しゃ、社長!」

敦は驚いて振り向くと、

「……はい、勿論です!」

と返事をした。

が……

ずずず〜

「今度はちくわをストローにして、汁を飲んでる!自由過ぎるよ、乱歩さん!」

「名前もやる?」

見ていた名前に乱歩が勧めるのを、

「名前に、変な事を教えないで下さい!」

乱歩に注意をすると、ちくわをお箸で掴み真似しようとする名前を、慌てて止めた。

「悪い奴では無いのだ……」

顔を引きつらせる福沢を、

「社長、凄い無理してませんか?」

敦は福沢を心配するのだった。



*



漸くおでんを食べ始める敦。

「おでん、好評で良かったね。」

お餅を食べる名前の世話を焼きながら、敦に話し掛ける太宰に、

「太宰さん、全然食べてないんじゃないですか?発案者なのに。」

心配して敦が云うと、

「私は皆を見ているだけで満足だよ〜」

名前の口元を拭きながら太宰は云った。

が、敦は見逃さなかった。

太宰がゲップをしたのを。

それを見て敦は察した。

(味見しまくったんだな)
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