BSD2

□34話
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語り掛ける福沢に、

「弓を貰ったから、仕事を受けろと?」

眉をひそめる乱歩。

「否。あれはな、唯の木片だ。」

福沢の言葉に目を見開き、愕然とする他のメンバー。

「勲章も賞賛も、我等には細かき霧雨に同じ。仮令(たとえ)我等が栄誉無き地下のコソ泥でも、この殺人を止める為に命を掛ける。」

そう告げる福沢に、

「なら勝手にすればいい!」

乱歩は立ち上がると、

バンッ

会議室を出て行った。

「乱歩さん!」

乱歩を追いかけようとする国木田を、

「追うな国木田。」

制止する福沢。

「探偵社は殺人犯を追う。そして乱歩は【探偵社滅亡】の真相を追う。同時調査……それが最適と乱歩も解っている。」

福沢はそう云った。

少し思案すると、名前は敦の膝から飛び降り、

「名前⁉」

『らんぽしゃ、いっしょいく!』

そう告げて会議室を出て、乱歩を追いかけた。

『らんぽしゃ!』

探偵社を出て、乱歩に追い付いた名前。

「名前……どうして此処に。」

驚いた顔をする乱歩に、

『いっしょいく!』

名前はニコリと笑うと、乱歩に小さな手を差し出すのだった。


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