BSD2

□34話
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沿岸警備隊の副司令。
頭部に腐食性の劇薬を浴び、骨まで溶かされて死亡。
死因は激痛からくる神経原性ショック。

国防省・対外治安局の局長秘書。
口腔からエアコンプレッサーで超高圧空気を導入され、毛穴から全血液と神経を吹き出し死亡。

最後が、軍警・異能犯罪対策課の一等軍吏。
【自殺草】とも呼ばれる南米原産の激痛植物を腋に植えられ密室に放置。

「自分の骨が露出する程掻き毟(むし)った後、自ら頭を壁に打ち付け脳挫傷で死亡。」

国木田の説明を聞いて、

「う……」

うめき声をあげる敦に、

『にいちゃ、めかくし、いみにゃい。』

名前は自分の目を塞ぐ敦の手をペチペチ叩き、外して貰った。

「成る程。《五人五衰》(ごにんごすい)――――犯人からのメッセージか。」

「?」

乱歩の言葉に首をかしげる谷崎。

其処へ―――

ガチャ

「《五人五衰》とは、六道輪廻の最高位たる「天人」が、死の間際に顕(あらわ)す五つのサインの事だ。」

「「「社長。」」」

福沢が会議室にやって来た。

若手議員は【衣裳垢膩(えしょうこうじ)】
衣服に垢と脂が染み出す。

沿岸警備隊の副司令は【頭上華萎(ずじょうけい)】
頭部の華鬘(けまん)が萎れ腐る。

国防省・対外治安局の局長秘書は【身体臭穢(しんたいしゅうえ)】
身体が汚れ臭い出す。

軍警・異能犯罪対策課の一等軍吏は【腋下汗出(えきげかんしゅつ)】
腋の下から汗が流れる。

「じゃあこれは……【見立て】型の連続猟奇殺人……」

眉をひそめ云う谷崎の言葉に、

「待って下さい。殺人は四件なのに――」

敦が気付く。

「その通りだ。五つの衰の内、【不楽本座(ふらくほんざ)が未だ無い。】」

国木田がそう告げた。

「じゃあ殺人は……もう一件起きる⁉」

敦の言葉を、

「起きぬ。」

直ぐ様福沢が否定した。

「何故なら我々が阻止するからだ。一同全力を挙げ凶賊の企みを阻止せよ。」

福沢の指示に、

「反対だね。」

乱歩が異を唱えた。

「乱歩……理由は。」

「友人の最後の言葉。」

名前も虫太郎の

【受ければ探偵社は滅ぶ!】

助言を思い出し、顔を曇らせる。

「この仕事は断る。」

乱歩の言葉に静まり返る会議室。

「乱歩。社長室の祓魔梓弓章(ふつましきゅうしょう)は見たか。我々、民護(みんご)の者にとって、百年に一度の名誉だ。」
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