BSDわん!

□お花見
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「お花見の場所取りですか?」

『おはにゃみ?』

中島兄弟は、国木田にお花見の場所取りを頼まれていた。

「社の皆で花見でもと思ったのだが、近場の公園が人気スポットでな。事前に頼める奴を探してるんだが……」

『にいちゃ、おはにゃみ!』

初めてのお花見に乗り気な名前を見て、

「僕達が行きます‼良い場所を取っておきますよ‼この身、朽ち果てるまで‼」

敦は即決した。
そんな敦に、

「おぉ、扶かる……重いな!!?」

国木田の乗りツッコミが入るのだった。

そして二人でやって来た公園。

「気合いを入れて、かなり早く場所取りに来たぞ!」

『にいちゃ、ぴんく!きりぇーね。』

満開の桜に名前は瞳をキラキラさせながら、敦と手を繋いで歩いていた。

「社を思って頑張る僕‼これは褒められてしまうな――」

ほわわーんと、自分の世界に行っている敦を、

『にいちゃ、にいちゃ。』

手を引っ張り、現実に引き戻す名前。

「……にしても、既に人が沢山居るなぁ……」

周りを見渡し呟く敦に、

『にいちゃ、ありぇ!』

名前が何かに気付いて指差した。

「ん?彼処の人も場所取りかな……ってアレって⁉」

敦も気付いたらしく、

「鏡花ちゃん!!?」

驚き声をあげた。

「な、何でココに……?」

驚く敦に、

「お花見の……場所取りするって昨日聞こえたから……」

そう答えた鏡花に、

(確かにあの時、鏡花ちゃんが通りかかったなぁ〜。)

と、名前は思い出す。

「ぼ、僕が行くって云ってたでしょ⁉」

「大丈夫。待つのは慣れてる。」

昔、太宰治をずっと待っていました。

異能である夜叉から話を聞いて、顔を引きつらせる名前。

「待って、何も大丈夫じゃない!」

敦もそれに思い当たり、ツッコミを入れた。

「ち、因みに何時頃から、こちらに……」

恐る恐る訊ねる敦に鏡花は、

「昨日の夕方から。」

ドヤっと答えた。

(うわ――!!!仮にも僕の方が先輩なのに……‼)

先程の自分を思い出し、羞恥にかられる敦を、ポンポンと名前は背中を叩いて慰めた。

『きょーかちゃ、こりぇ。』

「ん?」

名前の声に、置かれている重箱に気付いた敦。

「これ……お弁当も作ってきた……」

パカッと開かれた完璧なお弁当に、

「眩しい……鏡花ちゃんが眩しい……」

益々、敦が落ち込んだ。
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