BSDわん!
□どっち?
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兄弟でコソコソと話しては、首をかしげる中島兄弟に太宰が、
「やぁ、考え事かい?」
声を掛ける。
「太宰さん、あの……」
『にいちゃ!』
名前が待ったを掛けるが既に遅く、
「太宰さんと中也さんって、どっちが強いのかなって。」
敦は正直に答えた。
ピシャァ
真顔で固まる太宰に、敦も不味いと気付き、
「私と?中也が?何が何だって?」
((す、凄い怒ってるー‼))
「もっ、勿論。太宰さんの異能の凄さは判ってますよ!でも長年コンビでしたし、お互い弱点も熟知してるのかなーと……」
敦はオロオロし、名前はそんな兄に呆れた。
「ふーん」
敦の話を聞いた太宰は、
「……中也なんて、お話にならないナ〜。帽子が本体なんじゃないの?ってカンジ〜」
そう云って、中原と張り合い出した。
「は、はぁ……」
それを顔を引きつらせて聞く敦。
「ジャンケンだって、常に私の勝ちだから。中也は判りやすいから。」
「そこまで⁉」
太宰の言葉に敦が驚いたところで、名前は探偵社に近付いてくる知った異能の気配に気付き、扉を見つめた。
「ちょっと待て、コラァァアア」
バン‼
『ちゅーやしゃ!』
勢い良く入って来た中原に、自分の感知が当たったと喜ぶ名前。
「誰が誰に何だとコノヤロウ‼もう一度、云ってみやがれ‼」
(うわぁ、呼びこんじゃったー)
喜ぶ名前とは反対に、敦は顔を青ざめさせる。
「手前の仕掛ける勝負事なんてイカサマばっかじゃねーか⁉」
「ふーん、へーえ。そういうこと云う?」
意味深に笑い、
「内股歩きの、おじょーさま口調で、泣きながら退散したくせに。」
そういう太宰に、
「オイ!泣いては無かっただろ‼アレは手前のイヤがらせで」
慌てて中原が訂正する。
二人の異能から話を聞いた名前は、事情を知り中原に同情した。
「ジャンケンならなァ。手前用にとっておきの作戦があんだよ、太宰ィ‼」
中原が得意気に云って、シュッと右手を出す。
息を飲みそれを見つめる三人。
「これだ‼」
だが、中原が出したのは、小指と薬指を曲げ、後の指は立てた状態。
所謂、グー、チョキ、パー全てを併せ持つ最強の型と云われるものだった。
「「………」」
固まる敦と太宰。
『しゅごーい!』
感激しているのは、中原に近寄る名前だけ。
それを見た敦は、
(発想が名前と同じ、子供だ)
呆れ。
「莫迦だなー。名前君、あんな大人になっては駄目だよ?」
太宰は名前を中原から引き離し、抱き上げると、そう云った。
「ッだと手前⁉手前こそ、駄目な大人の代表じゃねぇーか!」
中原は太宰に突っ掛かり、云い争いは続くのだった。