BSDわん!

□荷物運び
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「いや〜敦君が居てくれて扶かったよ!有難う!」

敦は太宰に頼まれて、荷物運びの真っ最中。
重そうな風呂敷包みを背中に一つ、両手に一つずつ運んでいた。

そんな敦に、名前を抱いた太宰が礼を云う。

重そうな荷物に名前が心配そうに敦を見ている。

探偵社員に運んで欲しいと云う太宰に、

「太宰さんも一緒に持って下さいよー」

重い……と敦は音を吐くが、

「……敦君……」

「………」

太宰は敦を見つめると、

「敦君と私……どっちが先輩だと思う?矢っ張り、先輩は敬うものじゃないかと私は常々……」

ニヤリと笑って云い始めた。

「あぁ!大人狡い!大人は狡いなー!」

敦はそんな太宰に、自棄になって叫んだ。

『じゅりゅい!』

太宰の腕の中に居る名前も抗議した。

それでも気にした様子の無い太宰に、

「まぁ、いいですけど。」

敦は溜め息を吐いて歩き始めた。

が、太宰は立ち止まり、しゃがみ込む。

「太宰さんには、兄弟揃ってお世話になってますし、感謝してもしきれな……」

『にいちゃ!』

名前の声に敦は振り向く。

「太宰さん……?」

太宰から降ろされた名前。

「歩き疲れた……」

長い溜め息を吐いて両手を付く太宰の傍らに、名前が呆れた顔をして立っている。

「マジで云ってます?」

敦も顔を引きつらせた。

「……いや、私が荷物を持とう。」

立ち上がるなり、そう云い出す太宰に、

「へ?大丈夫なんですか?」

首をかしげる兄弟。

「そして名前君と荷物を持った私を、虎になった敦君が運ぶというのは如何だろうか。」

そう太宰が提案した。

「えええぇぇ⁉鬼だ!鬼が居る!僕、今より重いじゃないですか!」

異議を唱える敦。

「大体、名前はともかく、何で太宰さんまで!それに、異能をそんな風にですね!」

そう云ったところで、

敦の服を引っ張り首を振る名前を見て、太宰に何を云っても無駄だと敦も思い、

「あーもう、巫山戯て無いで、とっとと運びますよ。」

再び歩き出そうとすると、

「私をかい?どうぞ☆」

両手を出す太宰に、

『ちがう!』

「荷物をだよ‼」

兄弟揃ってツッコミを入れるのだった。

「ていうかコレ中身なんなんです?凄い量」

その時、

「うわっ」

よろける敦。

『にいちゃ⁉』
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