小説【BEAST】

□エピローグ
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武装探偵社の社員寮にて―――

『うわあぁぁん‼』

夜中に幼い子供の泣き声が響いた。

「名前⁉」

「⁉」

何事かと飛び起きる敦と鏡花。

敦が名前を抱き上げ、あやすが一向に泣き止まない。

『うえぇぇぇ!』

初めてした子供らしい泣き方に、敦は嬉しく感じつつ、泣き止まない事に戸惑い複雑な心境になる。

そこへ

ドンドンドンッ!

玄関をノックする音。

「はっ、はい!」

敦が返事をし鏡花に出て貰えば、

「一体何事だ?」

と、怪訝な顔をした国木田。

「敵襲かい?」

と、与謝野は鉈を片手に持ち、

「名前君が、大きな声で泣いているから心配で……」

「名前ちゃん、どうしましたの?」

と、谷崎兄妹。

皆、名前を心配し三人の部屋を訪ねて来た。

谷崎は必死に名前を泣き止まそうとしている、夜叉白雪を見て顔を引きつらせていたが。

最後に、

「名前君、子供らしい泣き方をするようになったねぇ。」

皆の後ろから太宰が、ひょっこりと顔を出した。

そんな太宰の姿を見た途端、

『だ……だじゃーしゃ……』

珍しく名前が、太宰に小さな手を伸ばし抱っこをねだった。

「「「「「「⁉」」」」」」

(いつも太宰(さん)をウザそうにしている名前(君・ちゃん)が‼)

それに驚く一同。

名前の行動に、少し固まった太宰だったが、恐る恐る敦から名前を受け取り抱き上げた。

『ひっく……ひっく。』

ポンポンと優しく背中を叩いてあやすと、徐々に泣き止み始める名前。

「……珍しいねぇ。名前君が私に抱っこをせがむなんて。どうしたんだい?」

優しい声で、名前の顔を覗き込む太宰に、

『こわい、ゆめ、みちゃ……』

少し、しゃくりあげながら名前は答えた。

「「「「「「怖い夢?」」」」」

太宰が死ぬ夢を見たと云う名前。

マフィアの首領となっていた太宰。
敦が白い死神と呼ばれるマフィアで、芥川が武装探偵社員。

そんな世界の夢。

「パラレルワールド……平行世界でありそうだねぇ。」

のほほんと云う太宰。

芥川が武装探偵社員と聞いて、微妙な表情をする他の一同……。
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