BSD2
□閑話
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警察官達に保護された後、警察署にて事情を聞かれたが、
「坊や、お名前は?」
『名前!』
「苗字は云えるかな?」
『わかんにゃい……』
「歳はいくつ?」
『みっちゅ!』
「名前君は、あの男と知り合いかい?」
『しりゃにゃい……』
名前は警察官に訊ねられても、自分の下の名前、年齢以外、探偵社に結びつく事は【知らない。】【判らない。】で貫いた。
警察官達も色々と質問するが、名前の年齢からして、何も事情は聞けないと判断したらしく、
「お家の人に、お迎え呼べるかな?」
暫くして、漸く解放される事になった。
『あい。』
名前が返事をして、子供用携帯で連絡をしたのは……
『もちもち?』
《名前!無事だったか⁉》
中原だった。
「一寸、おじさんに貸して貰えるかな?」
警察官に云われ、携帯を渡す名前。
「名前君のご家族の方ですか?実は私……」
警察官が中原を名前の兄か、父親と勘違いしてくれたらしく、自分が警察官である事。
名前が警察署にいる事情を話し警察署に迎えに来る様に頼んでいる。
中原も警察官の話しに、美味く合わせてくれたらしく、
「ご家族の人、直ぐに来るからね。」
そう云って名前に、警察官は携帯を返した。
まだ通話中であるそれに、
『もちもち?』
再度話し掛けると、
《事情は、さっき首領の命令で回収しに行った探偵社の奴等に聞いてる。直ぐに行くから待ってろよ?》
中原はそう名前に告げて、
『あい。』
名前の返事を聞くと、通話を切った。
*
「お世話になりました。」
『あいがとーごじゃいました。』
暫くして、ポートマフィアの【中原中也】とバレない様に、スーツを着てビシッとした姿で中原が迎えに来た。
そんな中原と共に、名前はペコリと警察官にお礼をし、警察署を後にする。
中原は車に乗り込み、何処から仕入れたのか、チャイルドシートに名前を固定しながら、
「名前。お前、人虎と合流って、居場所判るのか?」
そう問い掛けた。
『にいちゃ、いにょーしゃがしゅ!』
名前は、敦の異能の気配を探すと告げて、目を閉じ集中する。
すると然程、遠くない場所に敦と鏡花二人の異能の気配を捉えた。
『ちゅーやしゃ、あっち!』
「おっ、おう。判った。」
(名前の奴……いつの間にそんなことが出来る様になったんだ?)
驚きつつ、スーツの上着を脱いでいつもの格好に戻ると中原は、名前が指示する方向に車を走らせるのだった。