BSD2
□36話
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名前は何者かの異能の気配を感じ部屋の天井を見た。
『らんぽしゃ!』
「!」
天井の角には、先程まで無かった筈の監視カメラ。
名前の指差した方を見た乱歩も、同じ事を考えている筈。
(恐らく録画映像には犯人の姿――ナイフを持った乱歩の姿が……)
異能を発動し、名前が何者かの異能を消そうとした時……
《犯人に告ぐ!武器を棄て投降せよ!》
外から警官だろう声が聞こえた。
『らんぽしゃ……』
どうするか伺う名前に、首を振る乱歩。
結局名前は異能を発動しないまま、乱歩と共に逃げる事に。
《投降しましょう。ボク達は無実です。調べればきっと……》
乱歩は通話中のままだった携帯から、谷崎の声が聞こえ、
「無駄だ。」
そう制止した。
《乱歩さん御無事でしたか。》
「種田長官の止血処置をして、名前と逃走中だ。長官の意識が戻れば証言して貰えるかもしれんが……望み薄だろうな。」
ロッカーの陰に隠れ乱歩は、警官達の様子を伺いながら話す。
《何故です?》
「【本】は異能力者が創ったのではと長官が云ったが多分違う。あれは異能の更に上の【何か】だ。」
その証拠に、虫太郎の現実改変異能は、記憶の改竄までは出来なかったが、今回はそれが起こっている。
そう告げる乱歩に、
《慥(たし)かに。ある。私達が人質を拉致し、殺した記憶が。》
鏡花が同意し、
《慥かに……斗南司法次官は、人質として事件の全容を見ているのにも拘わらず、探偵社を【犯人】と断言した。》
国木田も同じく、同意した。
《じゃあ、若し捕まッたら。》
「政府には【記憶を読む】異能者が居る。調査されれば死罪は確実――」
谷崎の問いに、名前から聞いた安吾の異能の事を知らせたが、
カツン
「居たぞ!」
「ちっ」
警官達に見付かり、舌打ちをする乱歩。
「幼い子供が一緒だ!人質かもしれん!」
どうやら警官達は名前の存在を把握していないらしい。
それを聞いた乱歩は、
「名前を敦と合流させる!」
そう最後に国木田達に告げ、
ガシャン
『⁉』
名前を残し、一人窓ガラスを破り飛び降りた。
残された事に、愕然とする名前。
直ぐ様、乱歩が飛び降りた窓の外を確認する警官達。
「逃げたか……」
「坊や、もう大丈夫だからね?」
名前は、そのまま警官達に保護されたのだった。