BSD2
□35話
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「状況は判った。気を付けろ。【探偵社だけは妨害の許可をする】なんて条件、罠を疑わない方が如何かしてる。」
探偵社宛に犯人からのメッセージ動画が届いたらしい。
メッセージは三つ。
一つ目は、政府の要人達を拘束しており、時間が来たらチェーンソーで胴を切断する。
二つ目は、探偵社以外の人間が拘束先に踏み込めば、即座にチェーンソーを起動させる。
三つ目は、チェーンソーの起動は十八時丁度というものだった。
チェーンソーの起動まで、残り三十分。
《敵の目的……乱歩さんでも判りませんか?》
「心配するな。手掛かりの前まで来た。」
国木田からの連絡に、乱歩はそう告げて、名前と二人、とある建物の前で立ち止まった。
階段を登って行く二人。
『らんぽしゃ……ちのにおい……』
「あぁ。」
途中、共に血臭に気付いて、部屋の扉を開けた。
「『⁉』」
部屋の中には俯せで倒れ、血を流す人物が居た。
「異能特務課の……種田長官⁉」
乱歩がその人物を見て声をあげる。
「おう……福沢君トコの……探偵っ子か。何や、小さいのも連れとるな。」
二人に目線を向けニヤリと笑うと、
「聞け。《天人五衰》の……狙いが判った。」
種田はそう告げた。
乱歩は種田が楽になる様に、壁に凭れさせる。
「《天人五衰》は、五人の犯罪者で構成された組織や。」
種田曰くそのメンバーは、道化師ゴーゴリー、魔人フョードル、他の三人も特一級の危険異能者らしい。
「そして内一人は、【自分が一番知りたい事と相手が一番知りたい情報を交換する能力】を持つ。この傷は其奴にやられた。」
乱歩が種田から話を聞いていると同時に、名前は種田の異能からも話を聞いていた。
『!』
そして聞いた内容に顔をしかめる名前。
異能曰く、種田は百人を救う為に、一人を犠牲にと考える人だと云う。
安吾に【天人五衰】を逮捕しようと考えるな。殺せ。
平和の為なら、たとえ善人であろうと死んで貰う。
そう云ったらしい。
が、名前には【平和の為に死んでもいい人命】など、理解出来なかった。
名前が顔をしかめている間も、種田と乱歩の会話は続く。
「!じゃあ――」
「情報を盗まれた。ココからな。」
種田はそう自分の頭を指差した。
「その代わり連中の目的も判った。」
それを聞いて乱歩は、
「直ぐ特務課に連絡する!治療しないと――」
携帯を取り出すが、
「否。時間が無い、聞け。」
種田はそれを止めた。
「連中は儂の記憶を使い、ある【頁(ページ)】を盗み出した。」
「【頁】?」
「書いた内容が現実になる【白紙の小説】。嘗て研究の為、そこから切り取られた、一片の【頁】や。」