SB69
□13話
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ジュニア達の件の翌日。
今日はシュウ☆ゾーと、曲のアレンジをするという事で、兄達と一緒にジューダスへと来たナマエだったが……
「ナマエ、手を見せてくれるかい?」
来て早々、有無を云わさずナマエの小さい手を取るシュウ☆ゾー。
「「?」」
いつもの笑顔とは違い、真剣な顔のシュウ☆ゾーに戸惑うツインズ。
一方、ナマエは一人ビクビクしていて、耳も尻尾も垂れ下がっている。
「やっぱり……おかしいと思ったんだよ。一日でライブの曲をマスターするなんて……」
そう云って溜め息をつくと、ナマエの手をキュッと握った。
『いたっ!』
「「シュウ☆ゾーくん⁉」」
「ナマエ。家で毎日無理して長時間練習していたんだろう?腱鞘炎になりかけているよ?」
「「⁉」」
シュウ☆ゾーの言葉に、驚きナマエを見るツインズ。
ナマエはシュンとして俯く。
『だって……はやく、じょーじゅに、にゃりたかったにょ……』
前からジュニア達に良く思われていない事に気付いていたナマエ。
トラクロのライブに、ちょこちょこ出る様になってから、どんな曲を指定されても弾ける様に、以前から練習をしていたのだ。
自分を選んでくれたシュウ☆ゾーの為に。
兄達に恥をかかせない為に。
「ナマエの気持ちは判るし、嬉しいよ。けど、其れで本番に弾けなかったら意味が無いでしょ?」
そう云って、リクがナマエの頭を撫で、
「練習も勿論大事だけど、休むのも大事なんだぜ?」
しゃがみ込んでナマエに目線を合わせて、カイがそう言い聞かす。
「焦りは禁物。まだ本番まで時間はあるから、今日はナマエはお休みだよっ☆ピアノもキーボードも禁止!ボクがキーボードを弾くから、アドバイスを貰えるかな?」
シュウ☆ゾーが微笑みながら、そう提案した。
(でも、一日弾かないだけでピアニスト的には、指が動かず結構なブランクが出来るんだけど……)
チラリとシュウ☆ゾーの顔を見るナマエだったが……
『……あい。ごめんにゃしゃい。』
無言の笑みに負け、素直に謝るナマエの頭を撫でるシュウ☆ゾー。
こうして、その日はシュウ☆ゾーのキーボードに、ナマエがアイデアを出す形で曲のアレンジが進んだ。
ツインズも、そのアレンジに合わせて練習をしながら、滅多に聞けないシュウ☆ゾーのキーボードに、瞳をキラキラさせて感激していたのだった。