映画 【DEAD APPLE】

□完結
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敦は此処からは危険だからと、名前を抱っこ紐から降ろすと、

「此処で待ってて?」

そう云って、白虎に変化し行ってしまった。

残された名前は、近くに見知った異能を感じとり、歩き出した。

暫く歩くと、やはり、其処に居たのは太宰と中原の二人だった。

『だじゃーしゃ。いたいたいにゃい?』

太宰にいつもの様に声を掛けた名前。

「やぁ、名前君。私は平気だが、中也が【汚濁】を使ってこの通りだよ。霧が晴れない限り異能が分離するから、私と離す事も出来ない。」

男と……ましてや、中也何かと抱き合う趣味など無いというのに!と、いつもの調子で嫌そうな顔をして話す太宰に、ホッとする名前。

そして名前は、持ち歩いていたショルダーバッグから、太宰の着替えを取り出した。

「‼随分、用意が良いね名前君。」

太宰が驚きながら、そう云うと、

『おはかで……てんいむほー?……おだしゃ、きいた。』

「織田作に⁉」

『だじゃーしゃ、まえより、いくぶん、よくにゃったって、わらってた。』

そう告げた。

太宰は目を丸くすると、

「そうか……」

フッと優しく微笑み、名前から着替えを受け取った。

太宰が着替えている間、中原の異能力の制御を代わる名前。

着替えを済ますと太宰は、

「名前君、癒しておくれ。」

中原に膝枕をする名前をギュッと、後ろから抱え込んだ。

太宰は抱え込んだ名前ごと、中原に異能を発動させているらしい。

自分たち兄弟に、澁澤を会わせた負い目を感じて、落ち込んでいる様なので、名前は抱き付く太宰をそのままにした。

『ちゅーやしゃ、ち、ちゅいてる。』

名前はウエットティッシュを取り出すと、中原の顔をフキフキする。

「中也なんか、放って置けば良いのに。」

拗ねる太宰に、

『おだしゃ、しんでりぇりゃ、いってた。けど、しらゆきひめ。ちゅーやしゃ、おーじしゃまでしょ?』

助けて貰った癖にと、じと目で太宰を見る名前。

「えぇ〜。確かに助けて貰ったけど、私は白雪姫という柄じゃ無いよ。それに百歩譲っても、中也が王子は死んでも嫌。」

心底嫌そうな顔をして太宰は云うと、

「そうだ!名前君なら似合うんじゃない?白雪姫!」

ニコリと笑って云った。

「ねぇ、中也?そう思うだろ?いつまで狸寝入りしている気だい?」

そして、名前の膝を枕にしている、中原に声を掛ける。

「……てめぇ、いつから気付いてたんだよ。」

気不味げな顔をして、目を開ける中原。
まだ躰は動かせそうに無い。
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