映画 【DEAD APPLE】

□4話
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地下通路を通り、骸砦近くのマンホールから地上に出た四人。

辺りを警戒する芥川と鏡花。

「僕の存在を感じられるのも道理か……」

そう云って、芥川が一点を見つめる。
その視線の先には羅生門が待ち構えていた。

「手伝う。」

「⁉」

鏡花の申し出に驚く敦。
しかし芥川は、

「いらぬ。乙が力を示すという、あらゆる夜を彷徨い、あらゆる敵を屠(ほふ)ってきた。だが盲点だった。闘い、倒す価値ある敵が、こんな近くに居るとはな。」

そう云って、羅生門へ向かい歩いて行った。

「勝手な行動を……」

ムッとする敦に、

「今は其々(それぞれ)すべき事がある。」

「えっ?」

鏡花の視線の先には、夜叉白雪の姿。

鏡花は小刀の鞘を抜き去ると、

「貴方も成すべき事をして。」

夜叉へ向かい攻撃を仕掛けた。

「鏡花ちゃん‼」

途端に始まる鏡花と夜叉の激しい刀の打ち合い。

『にいちゃ……』

名前の声に振り向くと、敦の背後には月下獣が居た。



*



走りながら場所を移動し、立ち止まると、敦は追って来た月下獣へ銃を撃つが、弾が弾かれて効かない。

飛び掛かってきた月下獣に、抱えている名前を庇いながら避けるが、左腕を爪が掠めた。

『にいちゃ!』

心配する名前に、左腕を押さえながら、

「……大丈夫。」

そう答えながら、

(どうすれば、奴を倒せる……)

敦は思案していた。

その時、

『にいちゃ、ありぇ!』

名前が月下獣の首筋にある宝石を見つけた。

「あれをやれば良いのか!」

宝石を目掛けて銃を撃つが、弾切れになる。

「くそっ‼」

銃を投げ捨てる敦。

再度、襲い掛かる月下獣を見て、
名前が、

『とまりぇ‼おしゅわり‼』

異能力を発動させ、月下獣をお座りさせた。

「名前………お、お座りって……」

顔を引きつらせる敦に、

『にいちゃ、はやく!』

名前は、宝石を壊すように急かすのだった。

宝石が破壊され、消えた月下獣。

二人が急ぎ鏡花の元へと戻ると、鏡花はまだ夜叉と、激しい攻防を続けていた。

すると、夜叉の攻撃に耐えきれず、鏡花の小刀が折れた。

鏡花に迫る夜叉の刀に、

『だめ‼』

再び名前が異能力を発動させた。

鏡花の首元ギリギリで止まる夜叉の刀。

「鏡花ちゃん‼」

敦の声に我にかえると、鏡花は夜叉の額の宝石を壊した。

途端に夜叉白雪も消えたのだった。

「傷は?」

敦の心配をする鏡花に、

「大丈夫。力が戻れば虎の治癒能力で、傷も治る。」

敦はそう答えた。

骸砦を見上げる三人。

「骸砦……」

「彼処に太宰さんが居るんだ……太宰さんを助ければ、きっと何とかしてくれる。」
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