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□第四試合
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「あれ、一緒なんだ」
「……みたいですね」



マッチングに私の名前があったため待機部屋に入る
薄暗い部屋の一番奥に座っていたのは、つい先程まで一緒にいた彼で



「すぐだったからシャワー浴びそこねたよ」
「私もです。しかも眠いし……」
「分かる」



隣に座り残り2人を待つ
相変わらず静かな彼と同じタイミングで欠伸をした



「さっさと終わらせて一緒に寝る?」
「一緒には寝ないですけど、さっさと終わらせるには賛成です」



肘をつき答えると、つれないなぁと笑っている
ちょうどそこで人の気配がした
そちらに目をやるとナワーブさんとフィオナが立っていた
なにやら口論をしている……?



「2人とも元気だね」
「聞いてよノートン!ナワーブったらアオイに…」
「なんも言ってねーだろが!」
「え、なに何の話?」



自分の名前が出てきたことに驚く
ハンターの準備が早かったらしく、詳しく聞く前に試合が始まってしまった












「ったくフィオナ絶対許さねえ」



スポーン位置は駅庁舎の前
開けているため、より一層警戒して辺りを見回す
ざっと見ハンターらしき影はない

半分ほど解読したところでノートンからチャットが送られてきた



(アイツがファーチェか…まだ負傷してねぇけど割と近そうだな)



とりあえず手元の暗号機を解読してから
どう動くか決めるか
まだハンターが誰かも分からないため下手に動くよりかは解読に徹していたい

カタカタと解読をしながら
頭に浮かんできたのは先程のこと

フィオナが余計な事を言ってくれたからアオイも驚いた顔をしていた
幸いにもすぐに試合が始まったため追及される事はなかったが



(ますます会いづらくなったっつーの)



最後にまともに会ったのはあの時だ
あの柔らかい感触は忘れたくても忘れられない



(できるなら、もう1回…)



そんな俺らしくない思いが芽生えた
イライは俺を見てニヤニヤと笑っていたが



「よし、次行くか」



ガコン、と暗号機が光る
ノートンもハンターを撒いたようで
今は誰もチェイスをしていない

近くの暗号機を目指し走ると、少し離れたところに人影が見えた
その人物は、道のど真ん中でただただ立っていた



「……アオイ?」
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