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□傭兵と祈祷師
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「んだコレ。酒ばっかじゃねーか」
「ちょ、そっちの荷物は見ないでって言ったじゃないですか!」
私の持ってきた荷物を遠慮なく漁っているナワーブさん
私の外在特質を確認するべく、荘園の主からの手紙を探すことになったのはいいけど
「…色気ねー下着」
「シンプルと言えシンプルと。っていうかセクハラで訴えますよ女性陣に」
見つからないどころか、私が一方的に辱められている気がする
絶対後で仕返ししてやると野心を抱きながら持ってきた荷物を全部取り出すと、一番下に見覚えのない封筒があった
「これかな…」
「お、見せろ」
2人で封筒を開封する
どうやらこの手紙で当たりのようだ
ナワーブさんが一通り目を通し、私はハンターに狙われやすい特質を持っていると説明してくれた
「お前がいるだけで、他の奴らの行動速度が早くなる。でもお前自身はハンターの心音が立ち止まっている時以外は全く聞こえない…俺だったら最初にサクッと吊るすな」
「うへぇ……」
弓矢の効果はかなり使えるけど
それにしても慣れるまでが大変そうだ
「まぁ、今日ほど上手くいくことは少ないからな。俺ら他のサバイバーの特質も理解しながら、上手くやってくしかねーよ」
「う、がんばります……」
これからも、今日みたいな事が続いていくのか
その事を考えると、頭が痛くなってきた
「顔色悪いぞ」
「日本人はストレスに弱いんですよ…少し休みます」
顔を洗いに行こうと立ち上がると目眩がした
倒れるんだろうな、とこれから来る衝撃を覚悟していたけど、いつまで経っても衝撃は襲ってこなかった
「なにやってんだよ」
「やーん かっこいい」
歪んだ視界が戻ってくると、かなり近い距離にナワーブさんの顔があった
とっさに支えてくれたらしく、彼のがっちりとした腕の中
「多分疲労です…すいません」
「ったく、繊細すぎるだろ日本人。このまま寝かせときゃいーか?」
「ん、ありがとうございます」
体を預け、布団に寝かせてもらう
意外に優しいんだなぁと思っていると、部屋のドアが勢いよく開いた
「アオイ!体調悪いって聞いたからいっそいで試合終わらせてきた!大丈夫!?」
「あ、フィオナ」
走ってきたのか、ゼェゼェと肩で息をしている
目が合うと、何故か固まってしまった
「……フィオナ?」
「てめぇナワーブ!アオイに夜這いかけてんじゃねぇよ!」
「や、今昼…つーか襲わねぇよ」
「この状況で言い訳が通用するかぁ!」
角が生えているからか、今のフィオナが本物の鬼に見える
仲悪いのか?この2人……
「おいアオイ、説明してやれ」
「…おやすみなさい」
「あ、こら寝んな!」