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□記録と祈祷師
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「さっきウィリアムに聞かれたんだよね。昨日の朝早くにアオイを見た、って」



立ったままこちらを見るアオイ
その瞳に動揺の色が伺える
男しかいないフロアに、朝早く(ウィリアムが言うには、人目を気にしているような様子だったそうだ)いる理由なんて簡単だ



「ねぇ、どーなの?」
「……っ」



腕を掴むと振り払うような素振りを見せたが、抵抗はしなかった
立ったままのアオイを引き寄せ膝の上に座らせる



「……ね、答えられないの?」



わざと耳元で囁くと、背筋がピンと伸びた
最近知ったアオイの癖
どうやら弱い箇所が多いようだ
伸びた背筋に指を這わせ反対側は身体の前に回す



「っん、」



服の隙間から中に手を入れると流石に声が漏れた



「答えてくんないなら、今からするよ?」
「……やだっ、待って」
「じゃあ答えられるよね」



大方の予想はついてるけど、アオイの口から言わせることに意味がある
それがイライさんや他のヤツらなら許せなくもないが
よりによって、そんな事があれば多分我慢できないだろう



「で、誰?」



左手で顎を掴み無理矢理目線を合わせると
小さく震えながらも、俺が今一番聞きたくない名前を呟いた

そこからはよく、覚えていない















夕食の時間になっても食堂にアイツの姿はない
マーサ達に尋ねるのも考えたが、媚薬の一件があるため軽率に行動はできない



(後でこっそり様子見に行くか)



丁寧に盛り付けられたパスタをくるくると巻きつけていると、隣にイライが座ってきた



「珍しいね、ウィリアムが一緒じゃないのは」
「アイツなら減量するために夜はプロテインが主食だつってエミリー先生に言われたそうだぜ」
「へ、へぇ…大変だね」



もう食べ終わっていたのか、お決まりの紅茶を飲んでいる
それを横目にパスタを食べきった
俺が食い終わるのを待っていたかのように、イライも紅茶を飲み干した



「…で?なんだよ」
「あー…あのね、新ハンターの事で」
「それだけか?」



そう言うとイライは大きく息を吐いた



「なんでもお見通し?」
「わざわざ人の食事を待つまでの話題じゃねえだろ。場所変えるか?」



助かるよ、と頷いたイライと一緒に食堂を出た
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