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□傭兵と祈祷師
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風邪でも引いたんだろうか、先程から身体が熱い
食堂での作業を終えた私はナワーブさんの部屋に向かっていた
先程部屋を出た時の紙
そこには今夜部屋に来るようにといった内容が書かれていた



(だからってこんな夜中に…寝てたら明日にでも用件聞こう。私も熱っぽいし、)



彼の部屋の前に着くと中から物音がした
まだ起きていると安心したところで小さくノックする
私の顔を見て驚いた様子だ



「どうしたんだよ、こんな夜中に」
「え、ナワーブさんが呼び出したんでしょ?」



お互いの頭に?が浮かび上がったが「とりあえず入れ」と中に招き入れてくれた
ソファに腰掛け、ぱたぱたと手で扇ぐ



「暑いのか?」
「なんかさっきから様子が変で。身体が妙に熱くて、それに……」
「それに?」



はっとして慌てて口を閉じる
この先は死んでも言うわけにはいかない
ナワーブさんは不思議そうにしながらグラスに入った水を渡してくれた



「……っ」



受け取る時に軽く指が触れてしまった
それだけで右腕に電気のようなものが走る



「大丈夫かよ」
「ごめんなさい、床濡らしちゃった」
「それはいーけど。服濡れてる」



落とさずには済んだが、反応した時に少し零れてしまったようだ
袖で拭いているとナワーブさんがタオルで抑えてくれた
膝の上に彼の手が触れるだけで、出てしまいそうになる声



(やっぱりおかしい…なんで急に…)



上手く回らない頭で思考を巡らす
ふと、テーブルの上の小瓶が目に入った



「ナワーブさん、その小瓶って…」
「ん?これはホセさんがくれたんだが…そういやお前に持っていったヤツと似て……」



なにかに気づいたのか、一旦黙るナワーブさん



「……アオイ、これ飲んだか?」
「あ、はい。さっき飲みました。なんか薬の割に甘い水みたいな感じで…」



そう言い切る前に口を塞がれる
彼の唾液と私の唾液が混じり合う音が響く
私は背中に走る快感に、思わずナワーブさんの服を掴んでいた



「っ、これ多分媚薬なんだわ、俺もお前と同じ」
「…飲んだって事?」



私の問いに頷く
ほんのりと赤いような気がする彼の頬
堪らずその頬に触れる



「……どーします?とか、言っていいやつですか?」
「…やっぱ積極的じゃねぇか」
「もぅ、ナワーブさんの意地悪」
「ん。だから優しくできねーかも」



背中に腕をまわしたかと思えば、お姫様だっこでベッドに運ばれる
月明かりが妙に明るくて私の羞恥心は掻き立てられた
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