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□薬と祈祷師
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お昼過ぎ、目が覚めた私は布団の中にくるまっていた



「…いい加減出てこいよ。寝ぼけてたんだろ?」
「だって!だってあんな……!」
「まァ、日本人は積極的っつー事だろ?」
「ナワーブさんの意地悪!」




夢で兄さんの姿を見た気がして、目を開けるとすぐにナワーブさんの股間があった(もちろん服は着ていたけど…!)
聞くと、寝ぼけた私が絡まりついてしまったらしい




「寝てる時は積極的なんだな」
「そんなんじゃないですって…!」




いくらなんでも目の前にナワーブさんのナワーブさんがあれば恥ずかしくなるに決まってる
ましてや最近の彼に対する気持ちを考えれば尚更のこと



「ほら、出てこいって」
「嫌です」



もぞもぞと布団での攻防を繰り広げていると痺れを切らしたのか強引に布団を捲られた
上から私を見るナワーブさん
だんだん近づいたかと思うと、コツンとおでこが合わさった



「どーした?顔赤いけどまだ二日酔いか?」
「〜〜っ!バカナワーブ!変態!」



意地悪く笑うナワーブさん
私は自分の中で大きくなる気持ちを自覚しないように、もう一度布団を頭から被った










「じゃあ、ちゃんと飲めよソレ」
「はーい。ありがとうございます」



そう言ってドアを閉める
まだ俺に文句を言いたげな顔をしていたが、これ以上長居すると変な気が起きてしまいそうだったため退散
二日酔いはもう治ったと言い張るアオイに薬を飲むよう念押ししたが、多分あれは飲まないだろうな



(それにしても……)



階段を降りながら先程の事を思い出す
照れている、なんとも言えない表情のアオイ
本当はキスしてやりたかったが直前で首元の跡に気がついた
わざと目立つように付けられた紅い跡

それが気になってしまいキスするのが躊躇われた
やっぱりノートンのほうが男として意識されてるんだろうか



(って悩むような歳でもねーだろ、俺)



自室に戻りソファに座る
ぼーっと天井を見上げていると、アオイの寝言を思い出した
殺すなんて言葉が似合う女ではないが過去になにかあったんだろうか



「どうしたんだいため息なんかついて。悩み事かい?」
「………勝手に部屋に入ってくんなよ」



いつの間にか俺の隣に座っているホセさん
少なからず驚いた俺は思わず身構える
催眠か何か知らねーが気配を全く感じなかった
そんな俺を見て、ホセさんは笑っている




「で、どうしたの?アオイちゃんの事?」
「…違ぇけど違くない」
「ふぅん、まだ前に進めてないって感じか」



そう言いながら懐から小さな瓶を取り出した
コトン、と置かれたその中身には少量の液体が入っている



「これは?」
「恋するナワーブくんへのプレゼント。今夜寝る前に飲んでみて?よく眠れるから」




じゃーね、と手を振りながら部屋を出ていった




「怪しい液体…………」
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