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□ 蜂蜜と祈祷師
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「ちょっとーどうなってんのよ、アレ」
たまたま席が近くなったフィオナ達がウィリアムと俺に尋ねる
その視線の先にはノートンとアオイ
決して盛り上がってはいなさそうな2人だが、その周りには何か特別な空気がある
「だから知らねーって。ノートンが気に入ってる、それだけだろ?」
「やだナワーブくん、冷たい」
「一遍黙るか?ウィル」
昨日のダブハンの後、アオイに話しかけようと思ったができなかった
それは何故かは分からないが、まぁ疲れていたんだろう
隣で騒ぐウィルやフィオナ達を無視して朝飯を食べる
視界の隅で、むせ込んでいるアオイとその背中を撫でているノートンが見えた
「……」
バターを付けすぎたんだろうか
なにか胸の辺りがモヤッとする
残りのパンを食べ、水を一気に流し込んだ
「つっかれた……」
あれから特に会話もなく、ただただ静かな時間が過ぎていった
果たしてノートンさんは何を考えてるんだろうか全く読めない
自室にもどり、テーブルに突っ伏す
幸いとでも言うべきか朝の試合は無かった
(ってことは午後はあるんだろうな…できればリッパー以外がいいな)
めちゃくちゃ敵対心を持たれていた事を思い出し、なぜかと考えているうちにうとうとしてしまった
「アオイ、お前は──」
体がビクッとなって目が覚める
同じ体勢で寝ていたため、血流が限界を迎えたようだった
大きく伸び時間を確認するが、それほど経ってなかった
「ひげさん……?お散歩かな」
珍しく1人の部屋で先程の夢を思い返す
兄さんが何かを言いかけていた
それはものすごく大事な事のような気もするし、そうでない気もする
「紅茶でも飲もうかな…」
色んな種類が置いてあるとイライさんが言っていたし、人も少ないだろうからと再び食堂に向かうことにした