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□薬と祈祷師
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夕食の時間になりパトリシアと食堂に向かう
大体いつもの席にマーサ達の姿があった
この時間には珍しくトレイシーも座っている
「今日はご飯早いんだね?」
「たまには皆で食べたいと思って!そういやアオイの顔見るの久しぶりかも」
「だってトレイシー部屋から出てきてくれないんだもん」
「ごめんごめん」と笑いながらかぼちゃのポタージュに口をつける
私はお洒落なリゾットの熱が冷めるのを待っていた
しばらくワイワイとご飯を食べているとウィラが思い出したかのように言った
「そういえばナワーブが持っていった薬、飲んだ?」
その言葉に、女性陣の視線が一気に集まった
「え…まだ飲んでないけど…どうかしたの?」
おそるおそる応えると、斜め向かいのエミリーさんがスープカップをテーブルに置いた
「いい?アナタの身体に必要なものなのよ?食事が終わったらすぐに飲みなさい」
「え、でももう二日酔い治ったし…」
「いいから、飲むこと。分かった?」
般若のようなオーラを感じたため「はぁい」と小さく返事をした
確か部屋のテーブルに置きっぱなしだった気がするから寝る前にでも飲もうか
その後ご飯を食べ終えお風呂にも入り、私は自室に戻りのんびりした時間を過ごしていた
アオイがエマ達とお風呂に行った事を確認し、私たちはラウンジに集まった
「首尾は?」
「上々」
先に来ていたホセ達に尋ねると期待通りの答えが返ってきた
私の隣に座ったフィオナが楽しみと言わんばかりの笑顔になる
「エミリーの協力のおかげで薬って信じてるし。今夜が楽しみね」
「悪いレディ達だね、友達だろう?」
カヴィンが紅茶のカップを手に私たちを見た
「あら、友達が幸せになるなら応援するわよ。それに、それを言うなら貴方達もでしょう?同じ救助メンバーじゃない」
「ハハ、手厳しいね。…まぁナワーブくんは飲もうが飲むまいが、アオイちゃんが飲んでくれるなら問題ないね」
そう言ってホセは懐から小瓶を取り出した
昼間アオイに渡すよう頼んだ物と同じ小瓶
私達の計画では、渡したその場で飲んでくれる事を想定していたんだけれど…
「ねぇウィラ、これで2人が付き合っちゃえばいいのにね?」
「本当に。一昨日だって2人になっても結局何も無かったようだし…」
「だからって既成事実作っちまえなんて提案された時は驚いたけど。ねぇ?カヴィン」
「でも君が薬を持っていたおかげですぐに実行できたし、さすがキャプテン」
私達4人はお互いの顔を見合わせ、今夜起こるであろう事を楽しみにしていた
「……ところで、どうやって2人きりにするつもり?」
「「「あ」」」