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□第一試合
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荘園に戻るまでの道のりを歩く
なんだか無機質な白い廊下で、1人だと気がおかしくなってしまいそうだ


「だから、どんな特質持ってんのかとか立ち回り見るためにある程度野放しにしてたんだよ」
「でも右も左も分からないのに放置は酷いです、ハンターにすぐ見つかったし」
「捕まれば助けに行くつもりだったっての!」


隣のナワーブさんと先程から言い合いをしている
試合が始まって小屋に入っていく私を見ていたと聞いたから、思わず反論してしまった


「落ち着きなよ2人とも。こうして4人で脱出できたんだから」
「……イライさんも、梟ちゃん飛ばして私の事見てたらしいですね」
「あはは、ノートン喋ったな?」


イライさんは梟ちゃんを通して、他のサバイバーを護ることができるらしい
こっそりノートンさんが教えてくれた


「結局助けてくれたのはノートンさんだけって事なんですね。か弱い乙女が困っていたというのに」


自分自身を抱きしめるような動作をとると、ナワーブさんに笑われた


「あれだけ対抗しといて、か弱いもクソもねェだろ」
「クソくらいはあるわ。もうノートンさんしか信じないです」
「さすがアオイ、よく分かってる」


ノートンさんが挨拶をしなかったのは照れ隠しだったようで、いかつそうな見た目とのギャップにときめいた
しかもちゃんと助けてくれたし、この人こそ真のいい人なのではないか

彼の後ろ姿を見ていると、急に立ち止まり私の方へ両手を広げた


「じゃ、今夜俺の部屋おいでよ」
「んんん?」


前言撤回、下心がありそうだ


「……おつかれさまでーす」


そう吐き捨て、私は一目散に走った
後ろから引き止める声が聞こえたが無視 断固無視
少し走ると待機部屋と同じ扉が現れたため、振り返ることなく扉にダイブした
ズサーッとそのまま床に滑り込む


「おかえりなの!」


頭上から聞き慣れた声が聞こえ、無事帰って来たんだとほんの少しだけ泣きそうになった
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