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□Buon compleanno
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日付が変わってすぐ、私は電話をかけた。夜空を見上げながらコール音をひとつずつ数える。10を数えたあたりで通話を切った。

この街を離れている彼の、今日は誕生日だったから。誰よりも早くおめでとうが言いたかったんだけど。

「Buon compleanno ブローノ。」

繋がらない電話に向かって小さく呟いてため息をひとつ。どこにいるんだろう、この星空を見ているんだろうか。
帰ってきたら盛大にお祝いしなくちゃ。そう思って私はベッドに入り目を閉じた。






「Buongiorno、エルマ。」

朝の気配に目を開けたら私を見下ろすサファイアと目があった。覚醒しない頭で瞬きを数回。ガバッと起き上がるとベッドの端に座っていた彼に勢いよく抱きついた。

「おかえりなさい!!」
「ただいま。随分と熱烈な歓迎だな?」

愉快そうに肩を揺らしてブローノは私を抱きしめた。

「怪我してない?大丈夫?」
「ああ、ちょっと眠いくらいだ。
一段落して携帯見たら着信の通知があったから車飛ばしてきたんだぜ?」
「寝る前に電話したの。お誕生日おめでとう、ブローノ。」

私の言葉に彼はちょっと驚いたように瞬きしてからにっこりした。

「そうか、誕生日だったな。ありがとうエルマ。」
「誰にも言われてない?」
「君がはじめてだ。」

その言葉に嬉しくなってにひゃりと笑ったら、ぎゅっと抱きしめられた。

「プレゼント、もらってもいいか?」 「うん、待ってて今持ってく……。」

言い終わる前にブローノの唇が降ってきて私は何も喋れなくなった。そのままゆっくり体重がかかってベッドに押し戻される。

「……少し眠らなくていいの?」
「エルマが先だ。愛してる。」
「私も。大好きよブローノ、愛してる。」

私を見下ろすふたつの蒼が熱を孕んで揺れている。彼の髪をサラリと梳けばそれが合図だったかのように口付けが降ってきて、あっという間に彼の熱に取り込まれていった。

Buon compleanno
来年も、その次も、ずっとずっと二人でお祝いできますように。

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