Short

□pioggia
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せっかくの休日は滅多にない雨降りだった。

「今日はどこへも行けないね。」

軽くため息混じりに呟いて窓の外を眺めていたら、クスッと軽い笑い声がして後ろからきゅっと抱きしめられた。

「いいじゃあないか。君と二人でゆっくりできる。」
「そうだけど。」

明日どうしようって二人で昨晩話していた計画がダメになって私は少し落ち込んでいた。今日のために新しいワンピースも買ったのに。そんな気持ちが声音に表れてしまったのか、私に回されたブローノの腕に力が入り、耳元で低く囁かれた。

「それともオレと二人じゃあつまらない?」
「!!そんなことないよ!ブローノがいてくれたら何したって嬉しいし楽しいよ!」
「じゃあ。」

必死で否定するとくるりと振り向かされて見上げる間も無くブローノの唇が降ってきた。蕩けるような口付けの後、耳朶を食まれ熱い吐息まじりのブローノの声が私の脳髄を痺れさせる。

「……二人でどんな楽しい事をしようか?」
「……ばか。」

抱き締められ力の抜けた体を彼に預ければ、常より早い彼の鼓動が聞こえる。ああ、私と一緒。そんな事を考えながらその音に耳を傾けているうちに私はベッドに運ばれていた。

「愛してるブローノ。」
「オレもだ。Ti amo エルマ。」

微笑み合い口付けを交わす。雨に閉じ込められ雨音が聞こえる部屋に二人分の吐息が満ちていった。

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