4冊目

□187歩目。
1ページ/1ページ

ゴーンゴーン、ポッポーポッポー♪


気がつくとポッポ時計が鳴り、時計の針は4時を指していた。それを見てケイヒさんは私たちに話しかける。


「おや、もうこんな時間か…名残惜しいがそろそろ嵐が去った頃じゃろう。お前さんたちを探しているのではないか?」


ケイヒさんがブリーダーを引退した後、ブリーダー界も派手さが主流になってしまい、昨今のブリーダーはポケモン本来の美しさを競うものでなくなってきていたらしい。


ところが現トップブリーダーである私の育て方の話を聞いてケイヒさんはとても褒めてくれて、私を真のブリーダーと呼び、現トップの考え方を知れて良かったと喜んでくれた。私は自分なりの考えで道を進んできたのでそれを褒めて認めてもらえたことがとても嬉しく思えた。私もケイヒさんに学んだことをまた自分の力の糧にします、と言うとケイヒさんは嬉しそうに微笑んでくれた。ケイヒさんとの話を終えてからシゲルが私にそうだ、と思い出したように問いかけてくる。


「そうだ…ユウキ、今何か持ってる?」

「ううん…リーリエたちの船の中に荷物もほとんど置いて来ちゃって…今持ってるのはマリン団の部下たちの足止めをするために使ったクラボの実の粉末と胡椒の空瓶だけだよ。」

「そう言えば厨房から拝借してたね。…何に使ったの?」

「いや、爆弾解除のために発電気室へ入る前に扉からシンジのドンカラスに羽ばたいて風を起こしてもらって、部下たちの目潰しとくしゃみが止まらなくなるようにして隙が出来れば一気に制圧したって感じ?」

「流石だね。」

「シゲルは何か持ってない?」

「僕も通信手段に使えそうなものは何も持ってきてないな…」

「電子機器で通信する手立ては無しか…それじゃあ古典的だけど焚き火で狼煙でもあげようか。」

「そうだね、それが一番良さそうだ。」

「方法は決まったかい?」

「ええ。とりあえず古典的ですが狼煙をあげることにします。」

「ふむ。…しかし、狼煙に使えそうな木々を集めに今からジャングルへ行くのかい?あまり夜遅くに子供たちを森の奥へ進ませるのは気乗りしないが…」

「大丈夫です、狼煙に必要な薬草の育ちやすい場所は地形や地質で大体わかりますしみんなも手伝ってくれるので。」


私がそう言うと私のポケモンたちはみんな任せて、と言わんばかりに一鳴きした。シゲルは僕も手伝うよと言おうとしたが私は食い気味にダメ。と言った。


「じゃあ僕も手伝う…「ダメ。」

「え!?」

「シゲルはまだ病み上がりなんだから休んでなきゃダメ。もし着いてきたら怒るからね。」

「でっでも!二人でやった方が早いしそれに僕はキミを…」

「はっはっは、シゲル、今のこの子にゃ何言っても無駄さね!それに医者としても無理させたくないねぇ。」

「…大丈夫、すぐ戻るから。ねっ、みんな。」

「…あ、でも一つだけ注意しておこうかね。森の奥の洞窟近くには行っちゃいけないよ。そこにはお化けが住んでるって噂があるんじゃ。」


ビシリッ!!!


私が一瞬の内に石化したのをシゲルが見逃さない。


「だ、大丈夫かい?ユウキ?」

「だっだだだだ大丈夫ですのことよ!?」

「Σちょっ口調がおかしくなってるよ!!?」

「私もう14歳になったんだよお化けが怖いなんてそんな……「わっ!」Σひゃあぁあぁあぁあっ!!!」


私がシゲルに強がっているとケイヒさんが後ろから驚かせてくる。私は驚いて悲鳴を上げてシゲルにしがみついた。


「Σわっ!?///」

「けっ、ケイヒさぁーん…!驚かさないでくださいよぉ…!!」

「あっはっは!可愛いのう。大丈夫じゃよ、もし迷子になったらこれをお使い。」


そう言ってケイヒさんは私に小さな発煙筒を渡してくれた。空に注意しておくからもし迷ったらお使い、と微笑んでくれた。私はシゲルからゆっくり離れて発煙筒を受け取り、暗くなってきたジャングルへポケモンたちと歩みを進めた。



























次の章へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ