4冊目

□186歩目。
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「ユウキ。…ユウキ、起きて。」


優しくユウキの体を揺するとユウキはゆっくりと瞼を開いて黒くて綺麗な目が僕の姿を捕らえた。


「シゲ…ル………?」

「…………おはよう…」

「……………」


僕の姿を見てユウキは数秒時が止まったように固まっていた。しかし、次の瞬間ユウキはボロボロと大粒の涙を流して僕に抱き着いた。


「わっ!!?///」

「うわぁあぁああん!!///」

「………ごめんね…心配かけてごめんね、ユウキ…」

「ひっく…ひっく…///」


僕はユウキの頭を撫でて何度も謝る。僕はユウキの涙を自分の指で拭ってあげるけどそれが追い付かないくらいポロポロ涙が零れている。


「ごめんね。」

「………おはよう…///」

「…うん。」


ユウキが落ち着くまで背中を撫でていると、ユウキは安心したのか徐々に泣き止んできた。


「…………落ち着いた?」

「…………ん。」

「そっか。…ねぇ、ユウキ…」

「何…?」

「そろそろ離れてくれないと僕の理性が大爆発しちゃうんだけど…///」

「え…?///」


ユウキの姿はパーカーを羽織ってはいるものの、前のジッパーはガッツリ開いていてエーフィがモデルになったセクシーな水着が丸見えだ。そんな姿で抱き着かれたら流石に僕でも抑えられる理性の限界がある。僕の言うことに気が付いたらしいユウキは顔を真っ赤にしてバカ、と言ってジッパーを閉めた。僕だって健全な男だ。好きな女の子の水着姿で抱き着かれたら興奮だってする。僕はポケモンの研究について考えることでユウキへの邪念を消し去っていた。ふいにユウキが何かを思い出したように僕に問いかけた。


「………あ…そう言えば、ケイヒさんは…?」

「…ああ、そうだ。ケイヒさんがお茶を淹れてくれてるんだ。頂きに行こう?」

「うん。」


僕たちがお茶を頂きにリビングへ向かうとリビングにはティーセットとお茶菓子が用意されてあった。

「おや、起きたかい?ユウキ。」

「ケイヒさん、おはようございます。すみません、眠ってしまったようで…」

「いや、お前さんの行動を聞いていれば疲れて眠りもするだろうよ。…さ、お茶が入ったよ。お飲み。」


私とシゲルはケイヒさんに促されるままちょこんとイスに腰掛け、ケイヒさんもロッキングチェアへ腰掛けた。


「はい、ユウキはこれね。女の子が体を冷やすのは良くない。このお茶なら体を内側から温めてくれるよ。」

「あ、ありがとうございます!」

「シゲルはこっちね。さっきの抗生剤でほとんど治ったと思うが民間療法としてこのお茶もしっかりと飲みなさい。」

「は、はい。」


私たちがお茶を頂くとシゲルは一口目で顔を青くして一気に飲み干した。そして飲み終わってからよっぽど苦かったらしく、ケイヒさんの用意してくれたお茶請けのクッキーにかじり付いていた。


「はっはっは、よっぽど苦かったかの?…ほれ、二杯目はユウキと同じ体を温めるお茶じゃ。」

「あっ、ありがとうございます…」

『ラフラフー♪』
『アママイ♪』

「おや、ラフレシア、アママイコ、ご苦労さん。」


私たちがお茶をしているとラフレシアとアママイコが荷物を持ってやってきた。ケイヒさんは優しく言い荷物を受け取る。


「綺麗、ラフレシアにアママイコだ。ケイヒさんは草と虫タイプがお好きなんですか?」


さっきはシゲルのことで頭が一杯だった私が改めてラフレシアたちを見るとそれは素晴らしい育ち方をしていた。私はラフレシアとアママイコにこんにちはと挨拶しながらケイヒさんに尋ねるとケイヒさんは嬉しそうに話してくれた。


「ええ。私のポケモンたちは仕事仲間であり家族のような子たちだよ。」

「ラフレシアの花も大きくて色鮮やかで綺麗…ケイヒさんもポケモンを育てるのがお得意なんですね。」

「はっはっは、そりゃ私は若い頃トップブリーダーだったからねぇ。」

「「Σえ!?」」


私とシゲルが驚いて目を見開いた。ケイヒさんはどうしたのじゃ?と聞いてきた。私はおずおずと片手を挙げてこう言った。


「あの、私、今のトップブリーダーなんです。」

「おや!まぁ!そうだったのかい!道理でエーフィを始め綺麗なポケモンたちを育てているはずじゃよ!アンタ、私の若いときよりずっと良い腕を持ってるよ!」

「あ、ありがとうございます…!///」


元トップブリーダーのケイヒさんにそう言われ私は照れくさくなって顔を赤らめた。ブリーダーとしての秘訣などお話をしながらお茶を頂いた後、みんなで片付けをした。





























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