オレンジ色の旅日記
□4歩目。
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『フィー…』
『ブラー。』
『フィッ』
『ブラッキ!?』
風呂上がり後、ユウキのエーフィと僕のブラッキーが対面していた。エーフィは攻撃こそしなくなったもののやっぱり悪タイプポケモンであるブラッキーが怖いのか素っ気ない態度を取っている。ブラッキーはどうしたらいいか困りつつ僕の方を見つめてくる。
「エーフィ…」
「ユウキ、上手く行かない?」
「ああ、シゲル…うん、あまり快調とは言えないかな。」
「ブラッキーもショックを受けてるし、今日はこのくらいにしておこうか。」
「そうだね…」
『フィー!』
「エーフィ、ブラッキーはエーフィと仲良くなりたいんだよ。キミが悪タイプポケモン苦手なのはわかるけど仲良くなりたいって思ってくれてる子に失礼だよ。自分もされたら嫌だろう?だからゆっくりで良いからやってみよう?」
ユウキは子供を諭す母親のように優しくそう言った。だがエーフィは首を左右に振ってユウキの言葉についにそっぽを向いて家の外へ飛び出してしまった。
「あっ、エーフィ!」
ユウキもエーフィの後を追って外へと飛び出した。夜女の子一人で出歩くのは危ない、と思った僕はユウキの後を追いかけようとしたその時だった。
「うわあぁあぁあ!!」
『フィィイィイ!!』
ユウキとエーフィの悲鳴が聞こえた。僕とブラッキーは一目散に外へと駆け出した。家の外へと出るとユウキとエーフィが透明なガラスのドームに閉じ込められていた。そして目の前にはRのロゴマークのついた大きなロボット。ユウキの悲鳴を聞いたユウジロウさんとユウイチ博士も走って外へ出てきた。
「どうしたシゲル…!ユウキ!エーフィ!」
「一体何なんだ!?」
「「わーっはっはっは!」」
「何だかんだの声がして」
「ジャイロボールのようにやってきた」
「スターy「エーフィ!サイコキネシス!」
「コラァア!口上の邪魔すんじゃないわよ!」
「口上とか知らないよ!閉じ込められたら脱出しようとするのが普通の反応さ!」
『フィー!』
「そらそうだ。」
「さっすがユウキ、正論のナイフで容赦ない。」
「お前たちはロケット団のヤマトとコサンジ!」
「コサブロウだコサブロウ!!間違えて覚えてるぞオーキド博士の孫のジャリボーイ!」
「どうっでもいい!僕らを閉じ込めてどうする気だ!?エーフィ!サイコキネシス!」
『フィ!!』
エーフィのサイコキネシスがユウキとエーフィを閉じ込める透明なドームの壁を攻撃する。ところが傷一つつかなかった。
「何!?」
『フィ!?』
「オーッホッホッホ!このガラスは特殊な素材を使ってエスパーポケモンの放つサイコパワーを封印してるってわけ!だからアンタのエーフィちゃんは今やただの可愛い可愛いポケモンちゃんってことよ、天才ポケモンブリーダーのジャリボーイくん!良い子にしてたらお姉さんが後で良い事してあげr「僕は女だよ良い年してそんな趣味の悪い服着てるおばさん!」おっ、おおおお!!?おばさんですってえぇえぇえ!!?」
「おっ、落ち着けヤマト!「あとコサンジとか言う影の薄いおじさんも!「ムキイィイィイ!!生意気なジャリボーイ…じゃない、ジャリガールめ!」
自分よりも恐らく一回りは上の大人に対してユウキは冷静に煽っていく。その姿を見たシゲルはユウイチとユウジロウに質問をせずにはいられなかった。
「ユウイチ博士、ユウジロウさん、ユウキって口喧嘩強いんですか?」
「そりゃもう俺ら上二人がちゃらんぽらんだから下がしっかりしちゃった代表例そのものよ。」
「ユウキがしゃべれるようになってから口喧嘩で勝てた奴は我が家にはいないね〜。」
小さい頃の妹を思い出したのか兄二人はうっとりと可愛かったなぁと恍惚な表情を浮かべる。いや、その可愛い妹が今閉じ込められてるんですが…とシゲルが言おうとしたがそれよりも先にユウキが話を続ける。
「そんなことよりさっさとここから出してよ!僕たちを閉じ込めた目的を言え目的を!」
「ふん!しょうがない!口上の続きを大人しく聞くなら教えてやろう!」
「口上は別に知りたくはないけど話進まないから聞いてあげるよ。」
「何だかんだの声がして」
「ジャイロボールのようにやってきた」
「スターよ」
「ムーンよ」
「「スペースよ!」」
「みんなに届けよジャースティス」
「宇宙に伝えよギールティー」
「天国か地獄かその名を呼べば」
「誰もがシャキーンと背筋を正す」
「ヤマト!」
「コサブロウ!」
『ホツボツー!』
「ホントの主役はアタシたち!」
「我ら正統派の」
「「ロケット団!」」
「はいはい、気が済んだ?で、何でこんなことするわけ。」
「お前!仮にも10歳くらいの女の子で捕まってんだからもっと可愛げある反応出来ないのか!此処から出してください!とかやめてください!とか!「何で僕がそんなサービスしてやらなきゃいけないわけ?それにキャーココカラダシテーなんて可愛く悲鳴上げて解放してくれんなら僕もエーフィもいくらでも叫ぶさ。」
「ぐぬぬぬぬっ…ますます可愛げのないジャリガール!ふ、ふん!いい気になってられるのも今のうちだ!」
「アタシたちはアンタのエーフィと天才ポケモンブリーダーとしての知識と腕を研究したいっていうガンバ博士からの命令で…」トゥルルル♪
ヤマトが説明しようとした瞬間、電話の音が鳴る。ヤマトが出ると大音量で「ナンバである!!」とだけ言い切れてしまった。ヤマトは改めて名前を言い直した。
「ナンバ博士からの命令でアンタの世界一美しいエーフィちゃんはボスに献上して、天才ポケモンブリーダーの知識と腕をロケット団のために使わせてもらうんだよ!」
「うん、断る。はい、解放して。」
「キイィイィイ!!とことん可愛げのないジャリンコだこと!!はいそうですかって解放してやるわけないでしょ!!」
「じゃあはいそうですかって悪人の手伝い普通の一般人がしないに決まってんじゃん。常識的に考えて。」
「うわーお、我が妹ながら口達者で勝てる気がしねーわ。」
「ユウキは悪い方には常に正論のナイフでズタボロになるまで心が瀕死状態になるまで攻撃するからね〜」
「そ、そんなことより早く助けましょう!ブラッキー!」
『ブラッ!』
「よぉし!行け!グラエナ!」
「行くのよ!デルビル!!」
「クソッ、悪タイプばっかかよ!けど…ユウヒガジムのジムリーダー様舐めんなよ!待ってろユウキ!今兄ちゃんたちが助けてやる!行け!エルレイド!」
「僕の弟妹に手を出してタダで済むとは思わないでくれよ?行け!サーナイト!」
『サーナッ!』
『エルレイッ!』
ロケット団とのポケモンバトルが始まった。三対二だ、相性が悪くてもこちらに数の分はある!ユウキは何とか自力で脱出しようとエーフィに技の指示を出そうとした。
「ユウイチ兄さん!ユウジロウ兄さん!シゲル!…エーフィ!僕たちも此処から出るんだ…」
『フィ…フィ………!』
「…エーフィ?」
エーフィの様子がおかしいことに気が付いたユウキ。エーフィはパニックを起こしたかのように悲鳴を上げ、暴れ回った。
『フィィイィイィイッ!!!』
「エーフィ!?どうしたの!?」
エーフィの異常な様子にユウイチ、ユウジロウ、シゲルも止まってしまった。その一瞬の隙ついて煙幕を張り、ロケット団のロボットは空を飛んで逃げ出した。
「隙アリ!」
「わーっはっはっは!お前たちの大事な妹は我らがさらっていく!さらばだ!」
「しまった!」
「ユウキ!エーフィ!」
『ブラァアッ!!』
「ユウイチ兄さん!ユウジロウ兄さん!シゲルーっ!!」
「ユウキーっ!!エーフィーっ!!」
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