3冊目

□88歩目。
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「ふぅ。…ロコン、よく頑張ったね。」


ステージ裏に戻った私はロコンを抱きしめ、頭を撫でた。


『コォーン♪』

「これはこれはユウキくーん!今回はまさかの炎タイプで、しかも一般ブリーダーとして出場されるとはずいぶんと余裕ですねぇ!」

「…………」


出場者控室で憎たらしく声を掛けてくるミツキをスルーしてロコンのブラッシングを続ける。


「おいおい、トップブリーダーだからってこの僕を無視するんじゃないよ〜、なぁロコン?キミも可哀想だねぇ、こんな不愛想な奴がご主人様だなんてさ。キミのご主人様になんか言ってやりな…『コォンッ!!』


ロコンはミツキに威嚇しながら私の前へと出た。私はロコンを撫でて、ロコンを止める。


「ロコン、構わなくていいよ。それより頑張ったご褒美のポフィンだよ。」

『コォーン♪』

「オイオイ、僕のような格下には興味がないと言いたいのかい?トップブリーダー様はずいぶんとお偉いのですねぇ〜!!「ミツキ、五月蠅いよ。というかキミの方こそずいぶん余裕だね。…僕は今回一般ブリーダーとして参加しただけだ。僕でも結果発表されるまでは怖い。他のブリーダーにちょっかいかけてる暇があるなら自分のポケモンにお礼を言ったらどうだい?」


私がそう言うと他に控室に居たブリーダーさんたちがミツキを白い目で見ていた。その視線に耐えられなくなったのか、舌打ちをしてその場を離れた。私がミツキに一目もくれずロコンを撫でていると何人かのブリーダーさんたちが私の側へ寄ってくる。


「あんなの気にしなくて良いですよ。ユウキさん。」

「ええ!それよりもそのロコン、とても素敵でした!」

「ブラッシング方法はどうされてるんですか!?」

「あはは、ありがとうございます。…ロコン、良かったね。みんな褒めてくれてるよ。」

『コォーン♪』


ポフィンやポロック、漢方薬や医学などの知識を勉強したということを軽く説明をするとブリーダーさんたちはとても真似できないわ…と苦笑いした。


「ユウキさんは素晴らしいポケモンブリーダーさんなのですね…」
「素敵です!」
「勉強させていただきます…!!」

「恐れ入ります。」


そうしている内に結果発表がされた。


「それではお待ちかね結果発表でございマーーーーーーーーーース!!!!今回のマーガレット大会、優勝はやはりこの人、圧倒的な得票数と実力、ユウザキ島のユウキサアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!」


わああああああああああああああああああああああ!!


「やった…!やったよ、ロコン!」
『コォーン♪』

「おめでとうございます、ユウキ様!!!!」
「流石です!!」
「ユウキ様ァアッ///」

「あの…そのユウキ様って言うのはやめていただけませんか?僕はただのブリーダーです。ポケモンを育てたいという気持ちではトップだろうとプロだろうとアマチュアだろうと変わりはないと思います。」


私の一言でその場に居た取り巻き状態になっていたブリーダーさんたちがハッと何かに気付かされたように驚き、そしてその場に居た人たちが一斉に拍手をした。


「……そうですね、わかりました!!貴方は本当に素晴らしいブリーダーです!」

「ありがとうございます!」

『コォーン♪』


私とロコンは一緒にステージへ上がりマイケルさんにマーガレットリボンを贈呈された。


「おめでとうございマース!!やはりユウキサンが圧勝デシターーーーーー!!」
「おめでとうございます、流石はトップブリーダーのユウキさん!炎タイプポケモンであるロコンと出場されるとは私たちも思ってもみなかったです!毎度貴方の育てるポケモンには驚かされます。」
「いやー、好きですねぇ!」
「ロコンと深い信頼関係がなければあそこまで完璧に技を決められるものではありませんよ!おめでとう、ユウキさん!」
「これがマーガレット大会優勝の証、マーガレットリボンデーーーーーース!!」
「コンテスタさん、スキゾウさん、ジョーイさん、マイケルさん、ありがとうございます!…ロコン、おめでとう。これは貴方の力でゲットしたリボンだよ。よく頑張ったね。」

『コォーン♪』


ロコンにマーガレットリボンをつけ、抱き上げると会場はわっと歓声と拍手に包まれた。

「これにてポケモンビューティーコンテスト、マーガレット大会閉会いたしマ……」

ドォオン!!!

突如会場内に轟音が響き渡り、変なメカが現れた。

「なっ、何なんだ!?」
「何だかんだの声がして」

「ジャイロボールのようにやってきた」

「スターよ」

「ムーンよ」

「「スペースよ」」

「みんなに届けよジャースティス」

「宇宙に伝えよギールティー」

「天国か地獄かその名を呼べば」

「誰もがシャキーンと背筋を正す」

「ヤマト」

「コサブロウ」

『ボツボツー』

「ホントの主役はあたしたち」

「我ら正統派の」

「「ロケット団!」」

「キミたちはロケット団のヤマトにコサンジ!!キミたちまだそんな活動続けてたのかい!?」

「ユウキサン!奴らは何者デースカ!!?」

「人のポケモンを奪おうとする悪い奴らです!」

「コサブロウだ!!コサブロウ!!4年経っても人の名前間違えるんじゃねぇ!」

「今回はこの会場にいるポケモンたちを全て頂くために来たのよ!コサンジ、やっちゃいなさい!」

「了解!まずはあのミロカロスからだ!!」


ロボットのアームがミツキのミロカロスを捕らえた。


『フオォオー!!!』

「ミロカロス!!」

「ロコン、あのアームに向かって大文字!」

『コォーーーーーン!!』

「あらぁ、ロコンじゃない。無駄よ無駄、そんな小さなポケモンがこの高性能ロボットに勝てるわけ…「ミツキ!」

「…キミの力を借りるのは癪だが…!ミロカロス!大文字の当たった場所へハイドロポンプ!!」

『フオォオー!!!』


ミツキは私の意図を読み取ったのか、大文字の当たった場所へハイドロポンプを当てた。すると爆発が起こり、ミロカロスが解放された。


「なっ、何ぃ!!?バカな!!最新の機器を使った超高性能メカだぞ!?」

「どうやらキミたちは僕の育てたロコンを舐めていたようだね。僕のロコンは体こそ小さいけど普通のロコンたちの比にならないほど強烈な炎を放てるよう鍛えた!そして高温になった物を急激に冷やせばどんな頑丈なものも大抵破壊される!」

「ぐぬぬぬ!生意気な…!こうなりゃそのロコンだけでも…!「僕を忘れてもらっちゃ困るな。ブラッキー!サイコキネシス!!!」

『ブラッ!!』

「ドダイトス、ハードプラント!!!」

『ドダァア!!!』

「なっ、何なのコイツら!」

「オーキド博士の孫のジャリボーイと…誰だ!?」

「頼むね、シゲル、シンジ!」


シゲルのブラッキーのサイコキネシスでヤマトとコサンジの動きを止め、シンジのドダイトスでロボットごとロケット団を空の彼方へと吹っ飛ばした。


「ああんもう!!出番が多いのはありがたいけど!!」
「管理人が書くたび俺らあっさり倒されすぎなんだよ!もう少し活躍させてくれー!!」「「やな気持ちーーーーーー………」」


「ミロカロス!無事で良かった!!」

『フオォオー♪』

「ミロカロス、どこか怪我はしてないかい?」


私がミロカロスに駆けより体を確認するとミロカロスは大丈夫、と一鳴きした。


「………ユウキ、何故僕のミロカロスを助けてくれた?」


ミツキがそう言った。私は首を傾げてミツキの問に答える。


「?一生懸命育てたポケモンが盗られそうになったら助けるのがブリーダーだろう?それに僕は助けたわけじゃない、少し手助けをしただけさ。」

「………(きゅん)」

「(ゾゾゾッ!!あ、あれ、今なんかすごい悪寒が……?)」

「(あれ!?僕今何できゅんとしたんだ!?相手は男だぞ!!?)」←※ミツキくんはユウキちゃんを男の子だと思っています。

「あっ…マイケルさん!締めをお願いします!」

「あっ!はい!ハプニングはありマシタが、これにてポケモンビューティーコンテストマーガレット大会、閉会いたしマース!!優勝したユウキさんとロコンにもう一度盛大な拍手ヲ!!」


ロケット団の襲撃はあったものの表彰式が終わった。その後、私に写真撮影やインタビューをしたいと殺到したが何とか断り、シゲルとシンジのもとへ逃げた。




















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