7冊目
□223歩目。
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―――――――――――――バリーンッ!!!
「…………………、…ユウキ……………?」
僕の掌からマグカップが滑り落ちた。それと同時に僕の口からこぼれ落ちたユウキの名前。
僕はベッドを飛び出してユウキの姿を探す。
「ユウキ!!ユウキ!!!!」
「…あら?シゲルさん、どうされたんですか?」
先程ユウキを連れて出ていった僕の担当ナースさん、ユキノシタさんが不思議そうに僕を見つめてくる。僕は彼女にユウキのことを尋ねた。
「ユキノシタさん!!ユウキは!?ユウキは何処に!?」
「え?…ああ、彼女さんなら用事があるからと先ほど帰られましたよ。シゲルさんに言伝をお願いされてましたので…」
「……………」
いや、そんなはずはない。ユウキが僕に何も言わず帰ってしまうなんてありえない。ポケギアを確認してもユウキからのメッセージも着信もない。
「…ユキノシタさん、貴方は嘘をついていますね。」
「…え?何をおっしゃっているんですか?シゲルさん…」
「ユウキは僕に黙って帰るような子じゃない…!」
「…それだけで私が嘘をついているという証拠にはなりませんよ、シゲルさん。」
「……………」
『トゥー!』
僕たちの目の前に現れたネイティは一目見ても美しい、ユウキのネイティであることがわかった。ユキノシタさんはネイティに対して何処から迷い込んできたの?と尋ねるがネイティはユキノシタさんの手をつついた。
「いった!!何すんのよこのネイティ!!」
「ネイティ!」
『トゥー!トゥー!』
「キミはユウキのネイティだね!」
『トゥ!!』
僕がそう尋ねるとネイティが力強く頷いた。ユキノシタさんがネイティに対して何か言っているが僕はもうその言葉が耳に入って来なくなっていた。
「ちょっと!!このネイティ何なの!?躾がなってないわね!!」
「ネイティ!ユウキに何かあったんだね!?」
『トゥ!!』
僕の肩に乗り翼である方向を指さしている。僕は彼女を乗せたまま病院内を走り出した。
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