オレンジ色の旅日記
□4歩目。
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ロケット団のロボットはユウザキ島の北の海に一時的につけられた。エーフィはパニックになったまま先ほどの特殊ガラスドームの中へ閉じ込められ、ユウキは後ろ手に縄で縛られる。
「これで良し。」
「散々言いたい放題言って暴れ回りやがって…!まさか人間の方が顔面に乱れひっかきかましてくるとは思わなかったぞ…!(怒)」
そういうコサブロウの顔面にはユウキによってくっきりつけられた爪痕が痛々しく残っている。ユウキは大きな丸い黒目を手を縛られ抵抗できなくなった彼女は最後の抵抗と言わんばかりにキモリやレントラーのごとく吊り上げヤマトとコサブロウを睨みつける。
「でもこうしちゃえばもう抵抗出来ないでしょうよ。」
「ふふーん、天才ポケモンブリーダーと言えど所詮は子供。力で大人に勝てると思ったか!へっへーん、ざまぁみろ!さぁそのすました顔を涙でぐちゃぐちゃにして泣いてみr…「うるさいよおじさん、僕にこんなことして…!あと五年もすればその真ん中分けから生え際にかけてどんどん禿が進行する呪いかけてやるからね。」んなっ!!?」
「とことん可愛げのないジャリンコだこと。ただ、その強気があとどれくらい続くかしらねぇ。」
『フィー!』
「(エーフィ…!)」
エーフィは先ほどからパニックを起こして呼吸が荒くなっている。ユウキはエーフィを心配し、歯を食いしばっている。
「おや?エーフィちゃん弱ってるみたいねぇ。ますます良い気持ち♪」
「僕のエーフィに触るな!!…アンタらの喉笛に食らいついてでも止めてやる!!」
ユウキの放つ殺気にコサブロウは驚いたがヤマトは冷静に言い放つ。
「ふぅん?ずいぶんこの子のこと大事なのねぇ。」
「?グラエナ、どうした?」
『グルルル…』
『フィー…!!』
エーフィはガタガタと震え更に体調が悪くなっていた。ユウキは嫌な想像が過ぎった。
「(エーフィ…!キミまさか、グラエナがお母さんの仇だって思い出したの…?だからそんなに怖がってるの…?もしそうだったらエーフィの精神状態も体調のコンディションも最悪だし、二人で脱出するにもこちらに分が悪い…!だったら今僕のすることは時間稼ぎ!兄さんたちが見つけてくれるのを祈るしかない…)」
「お前、このエーフィを気に入ったのか?」
『グラァ!』
『フィッ…!』
「離せ!エーフィに近寄るな!エーフィは今弱ってるんだ!僕が看ないと衰弱してしまう!」
「悪いけどそう言って離してやるほど悪党は優しくないのよおチビちゃん。アンタはまず口の効き方から覚えましょうね。」
「(ユウイチ兄さん…ユウジロウ兄さん!シゲル…!私は此処だよ…見つけて…!)」
その瞬間、爆発音が辺りに響き渡った。ヤマトとコサブロウは驚いて爆発音のした方へと掛けだしていった。
「何なんだ一体!?」
「何だかんだの声がして」
「シャドーボールのように現れた」
「サンよ」
「ムーンよ」
「「夕空よ」」
「可愛い妹救うため」
「可愛いエーフィ守るため」
「ユウザキ島からやってきた仲良し兄弟」
「ユウイチ」
「ユウジロウ」
「コラァアァア!!アタシらの口上パクって目立ってんじゃないわよ!この顔面偏差値高得点兄弟!」
「ユウジロウ、結構楽しいねこれ。」
「今度からジム戦前に名乗ってみっかな〜」
「なーんて冗談はさておき、僕たちの可愛い妹はどこだい?」
「どうやってつけてきた!?」
コサブロウがそう聞くとユウイチ博士は自分の腕を止まり木にしているネイティを見せた。
「ユウキの育てるポケモンはすごく優秀でね。ご主人様のピンチは必ず救うために働いてくれるとっても頭の良い子たちなんだ。」
『トゥー♪』
「さて、と。それじゃあさっきの続きさせてもらうとすっか。」
そう言ったユウジロウとユウイチの目には静かな怒りの炎が灯っていた。
「は、はんっ!所詮はエスパータイプのポケモンが悪タイプに勝てるとでも!?行くのよデルビル!」
「グラエナ!お前も行け!」
「(頼んだよ、シゲルくん!)」
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