オレンジ色の旅日記

□3歩目。
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「キリンリキ、ニャオニクス、今日の研究所はどうだった?」

『リキィ。』
『ニャオニ〜』

「そうか、少し疲れたんだね、今日は少しだけ薬草も調合したポケモンフーズにするからゆっくり休むんだよ。」

『『ニャオ!・リキィ!』』


ユウキはニャオニクスとキリンリキのブラッシングをしながら今日あった出来事を話している。


『トゥー。』
「ネイティ、ただいま。日向ぼっこは楽しかったかい?」


家のフェンスを止まり木にしているネイティを見たユウキは微笑みながらネイティに話しかけた。ネイティはコクリと頷いてまたボーッと空を眺め始めた。
そんなネイティに微笑んだ後顔を上げると前から兄たちが帰ってくる姿を見つけた。


『トゥートゥー!』
『リキィー!』
『ニャオニー!』

「ユウイチ兄さん、ユウジロウ兄さん…それに…シゲルくん?」

「ユウキ、みんな、今日からシゲルくんも泊まることになったよ。みんな仲良くしてね。」

「へ?あ、うん…?わかった、あと、ご飯カレーだけどいい?」

「やった!ユウキのカレーだ!」
「よっしゃカレーだー!シゲル!早速手ぇ洗って飯にしようぜ!」
「あ、ユウイチ博士、ユウジロウさんっ…」


ドタドタと家の中へ駆け上がっていくユウイチとユウジロウ、その後をポケモンたちもついて行った。この場に取り残されたのは
ユウキとシゲルの2人っきりだった。


「……えっと、なんか、ごめん。たぶん兄さんたちが無理矢理泊まってってお願いしたんだろう?」

「あ、いや、僕もユウイチ博士の下で泊まらせて貰えるなんて思ってもみなかったけど、とっても嬉しいんだ。」

「そっか。うん、それなら、よろしく。」
「うん、よろしく…」
「………」
「…………」


気まずい空気が流れる。するとモンスターボールの中からエーフィが出てきた。


『フィー』
「エーフィ。」

「…改めて見ても本当に綺麗なエーフィだね。」
「………ありがと。」
『フィー♪』


エーフィはシゲルの足に体を擦り寄せ甘えだした。シゲルはそんなエーフィの頭を優しく撫でてやると気持ちよさそう目を細める。


「こんなに人懐っこくて大人しい子なんだね。」

「うん、悪タイプさえ側に居なければこの子は大人しい子だよ。」

「…そうだ、ユウイチ博士とユウジロウさんにエーフィのトラウマを直してほしいって頼まれたんだけど…そのためにはこの子のことをよく知らないと無理をさせることになるかもしれないし…差し支えなければ教えてくれないかな。」

「………うん、あのね、この子と出会ったのはまだ野生のイーブイの頃だったんだけど、悪タイプポケモンに襲われてこの子の母親だったエーフィが殺されたんだ……」

「…!」

「エーフィのお母さんの体の下からこの子は瀕死の状態で僕が見つけて、一生懸命看病したら元気になってくれたんだけど…
そこからずっと悪タイプポケモンを見ると怯えてるんだ。悪タイプポケモンってのはわかるんだけど、たぶんエーフィと同じように四足歩行の悪タイプポケモンだったんじゃないかなぁ、とはエーフィの怯えた反応から思うんだ…だからって悪タイプポケモンがみんな悪いポケモンだってことはないんだけどね…」



そう言いながらユウキはエーフィの体を優しく撫でる。ビロードのように輝く滑らかな体毛を何度見てもシゲルは感心してしまうが、
ユウキの口から聞かされたエーフィの過去にシゲルは少し言葉に詰まった。それから少し考えてようやく言葉を吐き出した。


「…ユウキはどうしたい?」
「え…?」


「キミは、エーフィにどうなってほしい?」


ユウキは少し考えて、それでも優しい目でエーフィを見つめた。


「……僕は、エーフィに……幸せで居てほしいよ。この子が怖いなら守ってやりたい。けどね、このままじゃエーフィはいつまでも過去の恐怖に囚われ続けることになると思うんだ…だから僕は悪タイプポケモンに負けないエーフィになってほしい。」

「…そうか。それなら僕もブラッキーも協力しよう。」


シゲルがそう言うとユウキは少し驚いた表情を浮かべてからシゲルに対して初めて自身のポケモンたちに向ける花のような笑顔を見せた。


「ありがとう。」

「…初めて笑ってくれたね。」

「は、はぁ?キミ、何言ってるんだ?」

「おっと、さっきの笑顔はとっても可愛いけど今のその表情は可愛くないよ、ユウキちゃん。」


シゲルにからかわれたユウキは
うるさい!と顔を赤らめながら立ち上がった。逃げ込むように家の中へ入り、舌を出しながら「早く手ぇ洗ってきなよね、シゲル!」と吐き捨ててその後をエーフィがつけていった…


「…ブラッキー。」


モンスターボールの中からブラッキーを出し、シゲルはブラッキーを撫でながら笑った。


「参ったな、僕もみたいだ。」

『ブラぁ?』

「いや、お互い頑張ってみようか。ブラッキー。」

『ブラッ…?ブラッキ!』


ブラッキーはよくわからないものの、シゲルの質問に対し強く頷いた。







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