7冊目

□234歩目。
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どうする?どうやってここからあの子たちを助ける?



私がぐっと歯を食いしばったその時だった。


「東廊下でターゲットを発見した!すぐさま迎え!!」

「!」


無線機から聞こえてきたその言葉に驚いた。


どういうこと?私は今此処にいる。


それなのに私を東廊下で見つけた?まさか…アイ…?助けに来てくれたの…?


少し考えている内にキエロはターゲットである私を追い込むために全員で捕らえに行けと命令をした。見張りの二人もロコンたちを置いてもう一人の私を捕まえに出ていった。


この機会を逃すまいと私は静かにロコンたちの閉じ込められている部屋へ出る。


『…コォン!』
『ニャァンッ…!』
『ライチャア…!』

「しー。…みんな、ごめんね。お待たせ。すぐ出してあげるからね。」


私はすぐにポケギアの機能を利用しハッキング、電子ロックの解除をする。電子ロックの解除に約2分30秒かかる。その間に見張りが戻って来られたら最悪だ…


それに誰か一人でもポケモンの技を封じる首輪を外さないと万が一誰かが帰って来た時に応戦が出来ない。首輪を外すのには前回3分かかった。つまり合計5分30秒。その内私は無防備になってしまう。


焦りもあるものの、私は見張りがその間に帰ってきませんようにと祈るだけだった。



無事檻を開け、ダメージの大きかったエネコとロコンを一度モンスターボールに戻してから一番戦えそうなライチュウの首輪を外しにかかっていると私の背後から誰かがやって来て私の口を塞いだ。


「Σふぐっ!!?」


口を塞がれた私は手近にあったロッカーの中へライチュウと口を塞いだ人と一緒に入れられた。


最初はもがこうとしたものの大きくて温かい、優しい手とふわりと香る爽やかな石鹸の香りで私はもがくのをやめた。


まだ暗闇で目が慣れていないけど、この匂いと手の温もりはわかる。


その瞬間、ロッカーの隙間から見えたのは見張りの男たちがライチュウたちが居ないのを見に来て焦った様子で部屋を出ていく姿だった。


そして暗闇に目が慣れた瞬間、小声で私の耳に話しかけてくれる、優しいテノールの声。


「…ユウキ。」

「…っ!……シゲルっ……!!」


私の視線は私を見降ろす優しい目と交わった。



























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