3冊目

□86歩目。
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リバティーガーデン島のリゾートホテルでホテルのディナーを頂いた後、明日の大会に備え、ロコンのコンディションや最終調整、気持ちを落ち着かせてあげるために一緒に遊んだり、ブラッシングを行う。


「ロコン、明日はたくさんの人の前で本番だよ。…ワクワクするね。」

『コォン、コォーン。』


少し不安そうにするロコンの頭を撫でて、私はワクワクする理由を教えてあげた。


「あのね、ロコン。何で私がワクワクするかって言うとね、ロコンの綺麗で可愛くてカッコいい姿をたくさんの人に見てもらえるからだよ。貴方がすごいって褒めてもらえると思うと私はとっても楽しみなの。」

『…コォーン♪』

「当り前よ。貴方やエーフィたちが褒められることが私にとって一番の幸せなんだから♪」


私がそう言ってロコンを抱き上げるとロコンは嬉しそうに声を上げて甘えてきてくれた。すると私の部屋を誰かがノックする。私が返事をするとシゲルの声が聞こえてきた。


「ユウキー、僕だ、シゲルだ。」

「シゲル?どうしたんだい?」


私が部屋のドアを開けるとそこにはシゲルとシンジが立っていた。シゲルとシンジは食後退屈だからトランプでもしたいねって話になったんだ、と言った。


『コォーン。』

「あっ、ロコンも一緒に居たのかい?」

「うん。明日の最終調整やブラッシングをしたり遊んで気持ちをほぐしてあげてたところだったんだ。そうだ、シゲルもシンジもロコンと一緒にかまってあげてくれないかい?」


私がそう言うとシゲルはもちろん、と微笑み、シンジはポケモンのトレーニングルームも私のお陰でタダで利用できたとご機嫌だったようでロコンと一緒に遊んでくれることになった。


トランプをしながらロコンを膝の上に乗せ、撫でながらシゲルとシンジとトランプをする。大接戦に接戦を繰り広げ、結局全員が引き分けになって勝負が決まらない状態になっていた。


「ロコン、どれが良いと思う〜?」

『コォン…コンッ!!』


ロコンにそう聞くとロコンはシゲルのカードを一枚指さして私はそれを引いた。するとペアのカードが揃い、私が一番に上がれた。


「ロコーン!!すごいすごい!貴方のお陰で勝てたよー!!」


私がロコンを抱きしめてそう褒めるとロコンは嬉しそうに頬ずりしてきた。シゲルはそんな私とロコンを見て優しくほほえみながら、反対にシンジはいつものポーカーフェイスでこう言った。

「ロコンは勝利の女神様にも愛されてるみたいだね。」

「…だが油断はするなよ。特にあのミツキって奴には。」

「…うん。」

「…そう言えば、彼一体何者なんだい?ずいぶんユウキに突っかかってきてたし、キミのことをくん呼びしてたけど…」

「天才ブリーダー少年って呼ばれてた同い年の男の子らしい。親が元トップブリーダーらしくて、それで威張り散らしてたみたいだけどね…くん呼びなのは僕のことを男だと思ってるみたい。」

「…お前、髪も短いし貧乳だからな。服装の趣味も見てれば中性的な男だと疑う奴も多いだろうよ。」

「うるさいよシンジ!」


私がシンジの頬をつねって引っ張る。何をする、と睨んでくるけど構うもんか。私とシンジが頬の引っ張り合いつねり合いになっているとシゲルが止めて、セイラの話をした。


「…そう言えばセイラも親が偉くて威張り散らしてたね〜…」

「お前の周りの男はそんな馬鹿ばっかりか。」

「好きでそんなんばっかなわけないでしょ…セイラと違うのはポケモン育てることは好きみたいだけどね。その代わり絶対美しいポケモンしか育てないけど。」

「なるほど…見た目の厳選厨ってところかな。」

「そう言うこと。昔の誰かさんそっくりなんだよね。」

「オイ、その誰かって俺のことか?」

「「他に誰が?」」

「二人して声を揃えるな。」


シンジにシゲルと二人してそう言い、シンジから睨まれる。そんなシンジは置いておいて、ミツキのことを続けて話した。


「ミツキの育てるポケモンは美しいポケモンが多いから…ミロカロスやアシレーヌ、シャワーズだったな。水ポケモンを育てるのが得意らしい。特にミロカロスはお気に入りのパートナーだって聞いてもないのに自慢してきた。」

「そうなんだ…彼もイーブイの進化系を持ってるって事か…」

「僕のエーフィを執拗に追い回すからあまり会わせたくないんだよね。」

「…それ、ブラッキーに見つかったらシャワーズは瀕死の状態にされそうだね…」

「うん…」


私のエーフィはモテる。そりゃもうほとんどのイーブイ進化系のオスに。特性、メロメロボディを持ってなかったはずなのに何故かモテるからエーフィもたまに困るときがあるらしい。ただ、シゲルのブラッキーが恋人になってからはブラッキーが守ってくれるみたいだから私も安心してるんだけどね。


「彼の実力はどうなんだい?」

「自惚れ屋で目立ちたがり屋で偉そうで粘着質で鬱陶しいとは思うけど実力は本物だよ。僕のライバルって自称しなければ認めてあげてもいいんだけど、認めると調子に乗るからね。」

「なるほど…」

「お前、ミツキって奴にめちゃくちゃ毒吐くな。」

「まぁね。…リリー大会が僕も彼もブリーダーとして初出場したんだけどミツキは地元のメディア関係者が撮影に来たりしていたんだ。そこで家柄も実力も兼ね備えた天才ブリーダー少年、優勝確定って大々的に取り上げられていたんだけど結果は僕の優勝。突如現れた僕のせいで優勝を逃したことを未だに根に持ってるんだよね。」

「そうなんだ…何て言うか…引くね。」

「ああ。引くな。」

「まぁ、実力は本物だから明日も油断しないつもり。ね、ロコン。」

『コォン!』

「明日は頑張ってね、ユウキ!」

「負けたら承知せん。」

「あはは、全力で頑張らせていただきます!」


そう言い、明日の大会に備え私たちは早めに眠った。





























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