COLOR

□一色目
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この世界には色を持つ者と持たぬ者に


分けられる。


自分の先祖の能力が、突然に現れる現象、


通称“先祖帰り”。


より遠くの先祖に帰り、その能力が著しく


現れた者は“強帰先者”(きょうきせんしゃ)


と呼ばれ、一目で判断できるほどの容姿で


この世に生を受ける。こちらが色を持つ者。


反対に、先祖帰りしなかった者、能力が


現れなかった者は“無色者”(むしきしゃ)


と呼ばれ、この世界の大半を占めている。


こちらが色を持たぬ者。


強帰先者は、無色者よりも圧倒的に少なく、


確認されている強帰先者は全世界の人口の


ごく僅かである。少なさの理由としては、


その希少性から、獣のように乱獲され、中には


強帰先者の増加などの人体実験の被験体に


させられたことが挙げられる。


そのような痛ましい歴史を繰り返さないため、


時の為政者達は、強帰先者たちを手厚く保護


する条約を打ち立てた。無論、政府の監視下に


置かれる人生となるが、迫害や差別からは


確実に逃れられ、成人になれば、政府直轄の


組織に組み込まれ、任務が与えられる。


強帰先者は生まれながらに自分だけの


オリジナルカラー(通称OC)が与えられ、


頭髪、目の色などの容姿に色濃く反映される。


現段階で確認され、政府の保護下に


置かれているのは赤・青・緑の三色。


そして、長年現存していないとされ、歴史上の


OCとされていたのが黒色の強帰先者である。


十数年前から奇怪な殺人事件が多発しており、


防犯カメラなどの解析によって、


「黒の強帰先者ではないか」という意見が


出始めた。勿論そんな訳がないと批判する者も


多くいたが、説明のつけようが無いほどに


今回の連続殺人事件は奇妙な点が多い。


一点目は、犯人の痕跡が何一つないこと。


二点目は、防犯カメラから犯人が消えること。


そして三点目は、生き残った者が犯人の姿を


全く見ていないこと。


政府は今回の事件を国の最重要問題として


設定し、専門の組織を立ち上げた。


専門の組織には我が国が誇る最高戦力が


投入される予定となっている。


以下、組織に組み込まれた者の詳細を記載。







           第XX回組織会議書記               codename:A
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