-闇の花ver.S・SQUALO-

□Pioggia di neve
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いつもは隊士達の五月蝿い声が響き渡るこの城も、あの日から打って変わってずっと静かになってしまった。



ここは、世界最大のマフィア・ボンゴレファミリーの暗殺部隊…ヴァリアーの城。
その城の中を一人の隊士が闊歩していた。





長身に腰ほどまでにある白銀の長い髪を揺らし、左手に剣を携えたヴァリアー幹部の男…名をS(スペルビ)・スクアーロという。
ヴァリアー一の剣士と言われている彼の剣は、ここ数年振るわれること無くその鋭い爪を隠していた。



「あらスクアーロじゃない。どうしたのこんな所で」

「ルッスーリアか。別になんでもねぇよ」



そのスクアーロに声を掛けたのは、モヒカン頭とサングラスが特徴のルッスーリア。喋り方からわかるかと思うが、オカマだ。




「それにしても毎日暇よねぇ…最初の頃は半分休暇くらいの気分だったけど……もう、8年になるんですもの」

「…そうだなぁ"…」

「いつ帰ってくるのかしらね、うちのボスは」

「さぁな…」




脳裏に浮かぶのは、一瞬にして自分を惚れさせたあの憤怒。一生その怒りについて行くと決めたあの紅。










そして今は無き、その背中。














「ボスがいなきゃ退屈だわ」

「カス共の下らねぇ目線や思考の相手をするのもいい加減疲れたしなぁ"」




そのとある事件以降冷遇され続けているヴァリアー。今では本部の人間達から、その姿を見られれば途端に陰口を叩かれ冷たい目線を貰う。
その程度の事ではどうともならないが、いい気はしない。それを8年間ずっと続けられてきているのだ。気がついていないふりをしていても、心は疲弊していた。



「いつか必ず帰ってくるだろ」

「そう思ってるから私達はずっとここに居るのよ」



そうだな、と一言返して、スクアーロは自分の部屋へと帰って行った。





























そしてその日。ヴァリアーの城からまた一人、姿を消した。
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