夢日記
□雨
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自宅は歩いて15分程の場所にある。
近い方だとは思うのだが、こういう天気の日は足取りが重くなおさら家が遠く感じてしまう。
携帯を家に置いてきてしまったため、吾朗ちゃんにメッセージを送ることも出来ない。
いつもは帰る時間にメッセージを送るため、今日は心配をかけているかも…
そのためにも、急いで帰らなければ。
ここからだと、あと、5分くらいで家に…
その時だった
ピカッと目の前がフラッシュし
何が起きたのか理解する間もなく、地響きとともに爆音が耳を劈いた。
ドシャァァアアアアアアン!!!!!
ゴロゴロ、なんてものではない。
光ってすぐのため、かなり近い場所に落ちたのだろう。目の前が点滅し、何が起きたのか把握ができない。
「はっ……は………っ…!」
恐怖で足が動かない。
やだ、あと少しなのに。
家まであと少しなのに…!
情けない。
わかっていても、脳が体を動かすことを拒否していた。
それどころか、上から何か圧力をかけられているかのようにしゃがみの体制をとらざるを得ない感覚に襲われる。
地面に打たれ跳ね返った水滴がつま先から足を濡らしていく。
「や…やだ……私…っ」
帰りたい。帰りたいよ…
「助けて吾朗ちゃん…」
助けて…
「吾朗ちゃん…!」
「名無しっ!!!!」
名前を呼ばれ、はっと顔を上げる。
「ご………吾朗ちゃ…………」
なんで彼がこんな所に…
「ようやっと見つけた、大丈夫か?」
必死に走ってきたのだろう。
息を切らし、私が震える手で持っていた傘を彼は代わりに持ち直した。
「あ…私……ごめん…ごめんね…っ」
「謝らんでええ、早く来れんで堪忍な」
吾朗ちゃんは、私の頭を優しく撫でる。
「遅なってたから迎えに行こう思て電話かけたんやが、なんや後ろから着信が聞こえてな。雨降っとるし名無し、雷あかんからこうなってるんやないか思うて」
よしよし、と軽く彼の胸元に引き寄せられる。
「ほれ、泣くな泣くな〜!ほんま名無しはお子ちゃまやな〜」
「う〜、だって怖いもんは怖いんだもん仕方ないじゃん…」
「けど、そんなん俺が守ったるから安心やな。よかったな。永久保証やで」
彼はそう言ってにいっと笑うと「おっしゃ!風邪ひかんうちに帰ろか!」と私の手をくいっと引き、さっきのへたりこみが嘘のように私を立たせる。
自分の傘をたたみ、吾朗ちゃんの持ってきた大きな傘に2人ではいる。
彼の腕をきゅっとつかみ、離れないようてこてことひっついて歩く。
ほんの数分、家に着く頃にはだいぶ雨はましになっていた。