夢日記
□幸せな朝
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「なーぁ〜悪かったで〜…ッヒッヒッ、ゆ、許したってーな、くく…」
彼のツボに入ったのかずっと肩を震わせて笑っている。
「ばーか!!ゴロちゃんのばか!!!」
頭からフトンをかぶり、名無しはくるりと丸まった。
それを見て、隣の真島はその塊を少しゆさゆさと揺さぶる。
返事はない。
「ヒッヒッ………なぁ、なあって」
「…」
「芋虫はーん。俺が悪かったで、出てきてくれんやろか?」
からかうような彼の声色。随分と楽しそうである。
「そないなとこも好きやで。なあ、せやから可愛い可愛い顔、出してくれんやろか?」
しばらく沈黙が続いたあと、名無しが口を開く。
「…ごめんなさいは?」
「あぁ?あ〜…参ったでこりゃ…」
「あ。…ごめんなさい、俺を好きにしていいから。だったっけ?」
「おんまえ〜…」
「…言ってくれないと芋虫はでてあげません」
もそもそと動く塊に、真島はくくっと笑うとぐっとその塊の耳があるであろう場所に口を近づけた。
「すまんかった、俺んこと好きにしてええから、せやから顔みしたって?可愛い可愛い俺だけの、お姫はーん…?」
もぞ…
真島が言い終わると、掛け布団からゆっくりと顔を真っ赤にした名無しがのそのそと出てきた。
そんな彼女の顔を見るなり
「あぁ、やっぱ可愛ええな。大好きやで」
そう言い、真島は名無しをぎゅっと抱きしめた。
いつも彼には適わない。
いつだって、どんなことがあったって、私の心をさらってしまう。許してしまう。
ずるい男なのだ。
「あ!!」
「な、なんや?」
「おはよう言ってもらったけど私まだごろちゃんにおはよって言ってない!!!」
「おぉ?せやったか」
「ごろちゃん、……おはよう!」
「くく…おはようさん、名無し」
そのまま、2人の唇が重なり合う。
毎日楽しい朝が終わらない。
こうしてまたひとつ、騒がしく朝を迎えたのだった。