夢日記

□あなたのせい
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次の日。


朝目覚めると、いつもと何ら変わりない景色と光。

「…そうだ。昨日、真島さんと……いっ!」

二日酔いだろうか。頭がぐわんぐわんと回るような感覚でいろいろと悟る。

名無しはキョロキョロと見渡すが、真島の姿が見えない。

何だかしょんぼりしていると、部屋の扉がガラッと開いた。

「あ、起きとったんか。おはようさん、よう寝とったなあ大丈夫かいな?」

「真島さん…!」

「そ、そない嬉しそうな顔するなや照れるやんけ…」

驚きの表情と恥ずかしそうに後ろ頭をかき、すこし口をもごもごする真島。

「え!?してました!?」

「無自覚かい、タチが悪いのお…あぁせや、色々買うてきた、たんと食べ。」

ずらっとテーブルに並べられた、おかゆとポカリとりんごと…その他もろもろ風邪グッズ。
名無しはベッドから起き上がると、わあっとテーブルに駆け寄った。

「ありがとうございます…!」

ちらと真島に目を向けると、なぜだか動かずじっとこちらを見つめていた。

「……?ど、どうしました?」

「あかん」

「え?」

「…ちゅーしてええ?」

「え!?」

驚いたのもつかの間、真島さんの両手が伸びてきて名無しの頬をそっと包んだ。

「んん…!」

激しいものではなく、キスを堪能するかのようにその1回が優しく、長く続く。
しばらくそのままでいると頬を包んでいた手が、片方は後頭部にまわり、もう片方は腰周りに添えられた。
キスがさらに深くなる。

「んん…ん………」



長い。




…長い。長い!!!



「んん!!ん!!!!」

いよいよ息が続かなくなり名無しはパシパシと真島の背中を叩くが、彼は全く微動打にしない。



「ん゙ーーー!!!ぷはっ!!」

やっと唇が離れたと思うと名無しの腰を両手で抱き、真島はくつくつと笑いながら「どやった?」と聞いてくる。

「真島さんのバカ!!た、ただでさえ頭フラフラなのに!!」

「そない怒んなや〜、熱上がってしまうで?ワシが支えてるさかいもっかいしよや」

「〜〜〜〜〜っ知らない!!」

ぷい、と名無しがそっぽを向こうとすると、「待てや」と元の位置に戻され優しく唇を重ねられる。



今日からこんな日々が始まるのか。


毎日の変わらない静かな朝は、隻眼のあなたのせいで騒がしい朝に変わっていくのであった。


〜fin〜


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